債務負担行為

 国や地方公共団体の予算は単年度で完結するのが原則ですが、将来複数年度にわたる債務(歳出・支出)を負担することも可能です。これを債務負担行為といいます。

 複数年度といってもどこまで延ばせるのかが気になりますが、国は原則5か年度以内のようです(財政法15条3項本文)。ただし、国会の議決等によりさらに長い年度にすることも可能です(財政法15条3項但し書き)。

 財政法以外の法律で、国の行政機関等又は地方公共団体が自ら実施する公共サービスに関し、その実施を民間が担うことができるものは民間にゆだねる観点から、これを見直し、民間事業者の創意と工夫が反映されることが期待される一体の業務を選定して官民競争入札又は民間競争入札に付することにより、公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図る改革(以下「競争の導入による公共サービスの改革」という。)を実施するため、その基本理念、公共サービス改革基本方針の策定、官民競争入札及び民間競争入札の手続、落札した民間事業者が公共サービスを実施するために必要な措置、官民競争入札等監理委員会の設置その他必要な事項を定めるものとすることを趣旨とする、「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」の30条では、10か年度以内とされています。

 それでは、地方公共団体はどうかというと、法律上、上限はありません。議会の承認さえ得れば、何年度分でも可能です。上限はないとはいっても、一度議決されたものをそのまま放置するのではなく、毎年度適切にチェックされていないと、将来的な財政負担増につながりかねないため留意が必要です。

「かっぱ寿司」社長に逮捕状

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE203E70Q2A520C2000000/

回転ずし店「かっぱ寿司」を全国に展開する会社社長が同業他社の仕入れに関するデータを不正に持ち出した疑いが強まった。企業が保有する「営業秘密」を侵害したとのこと。

「営業秘密」というのは、不正競争防止法の定義では、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいいます(不正競争防止法2条6項)

「営業秘密」の侵害に関する刑事罰ですが、10年以下の懲役、最大3000万円以下の罰金、懲役と罰金がともに科されるということです(不正競争防止法21条)。

ことの程度にもよりますが、今回問題となった企業の規模からすると、犯罪を事前に抑止するという意味での刑事罰が軽いという印象です。これ以外にも民事訴訟があるので、損害賠償等々でそれなりの金額を賠償する必要が出てくるとは思いますが。

あと、会社社長がやったので、会社法に規定される会社に対する損害賠償責任も出てきますかね。

子会社の不良債権処理

原則的には子会社各自で不良債権(代金回収が遅れている債権)の回収に努めればいいのでしょうが、子会社といっても様々な規模のものあります。

親会社が関与しなくても回収できてしまう場合がありますが、規模が小さいところが各自で弁護士等に委託して、戸別訪問してとやっていると非効率極まりないです。

そこで、親会社に債権を譲渡をして親会社がまとめて回収に乗り出すとかすると、子会社各自が単独で動くよりも効率的に回収できるのでは・・・と言われることがあります。

ドル円

先日の為替介入以来、ドル円が145円にいきそうでいかない寸止めの状態が続いてますね。今週は143円ー145円手前と小幅な値動きです。

この値幅から抜け出したらものすごく動きそうですね。

請求書を電子データと紙のデータ、両方受け取った場合の対応

久々に電子帳簿保存法関連です。電子データと紙のデータ、両方受領した場合の取扱いです。電子データが正のデータとされると、電子取引となり、電子データを印刷して保存しておくという今までの実務が認められなくなる?とのことです。

結論から申し上げますと、紙のデータがあれば十分であり、特別な対応は不要と考えます。全く同一の内容であれば、電子データは紙にも出力したデータをデータのままで相手方に送付したものにすぎないからです。

なお、電子データで正本とか副本とか持ち込んで説明する人もいますが、電子データに正本も副本もありません。すべて同一です。また、紙のデータでも正本と副本の区別というのは当事者間で決める者かと思います。通常は、「控えとして・・・」とか「請求書(控)」のように、正本と副本を区別するための記載があるので。

収益認識基準(代理人取引)の場合の税務影響

代理人取引とは、非常に簡単にいうと、売上高・売上原価の両建てで計上していた処理を、役務収益という粗利益相当の金額を純額計上すること。法的形態はともかく、取引の流れから判断して取引の当事者ではなく代理人として仲介したとみなす会計処理です。どちらの処理を採用しても、利益は変わらないのですが、上場を目指すなどして公認会計士の財務諸表監査を受ける必要がある場合は留意が必要です。

なお、この代理人取引、悩ましいことに、純額処理すると消費税の計算に影響が出てしまいます。消費税は会計処理の影響を受けないので、売上高の対価の受取り、売上原価の対価の支払いがあれば、それぞれ課税売上高、課税仕入れとして別々に認識する必要があります。

消費税の計算は課税売上高から課税仕入れを差し引けば、算出できるわけではないので、会計処理とは別に、消費税の計算用に集計するという手間が生じます。