公認会計士法上の大会社等の監査実施規定

公認会計士は、大会社等の財務書類について第二条第一項の業務を行うときは、他の公認会計士若しくは監査法人と共同し、又は他の公認会計士を補助者として使用して行わなければならないとされています(公認会計士法24条の4本文)。

つまり、監査報告書のサインを2名以上にするか、あるいは、監査報告書のサインを単独にするにしても、公認会計士の補助者が必要になるということですね。なお、24条の4の但し書きに、やむを得ない場合は単独でもOKとあります。

こちらの規定は、公認会計士法施行規則11条にあります。

一 共同して監査証明業務を行う他の公認会計士又は補助者として使用する他の公認会計士が登録を抹消されたこと。
二 共同して監査証明業務を行う他の公認会計士又は補助者として使用する他の公認会計士が事故、病気その他これに準ずる事由により業務を行うことができなくなったこと。
三 共同して監査証明業務を行う他の公認会計士若しくは監査法人又は補助者として使用する他の公認会計士が移転したことにより、当該他の公認会計士若しくは監査法人と共同し、又は当該他の公認会計士を補助者として使用して行うことができなくなったこと。
四 共同して監査証明業務を行う監査法人が解散したこと。
五 前各号に準ずるやむを得ない事情であって、当該公認会計士の責めに帰すべき事由がないもの

というわけで、当初から単独で監査報告書のサインをし、補助者がなしというパターンでは許容されないと考えられます。

補習所考査

補習所というのは、公認会計士になろうとする人向けの学校みたいなもので、考査というのは、テストのことです。このテストで受験者のほとんどが落第となった科目があるようですね。

今までの出題傾向と大きく変えてきたのが原因だとか。出題内容自体は妥当といえば妥当なのですが、複数解がある試験にしないと受講生を救えないですからね。唯一解の試験で宿題傾向を大きく変えるのは、受講生にとって酷かと思います。選抜試験ではないのに、厳しいと思います。彼らの大半は監査法人で働きながら勉強しているので。

最後に蛇足ですが、「補習所」が正しい名称です。公認会計士の人で、「補修所」と間違えて書く人が案外多いです。

公認会計士の名称使用制限

公認会計士でない者は、公認会計士の名称又は公認会計士と誤認させるような名称を使用できません(公認会計士法48条1項)。
公認会計士試験に合格するだけでは公認会計士になれず、実務補習の受講や修了考査の合格などを経て、公認会計士として登録されることによって、
はじめて公認会計士と名乗ることが許されます。公認会計士試験に合格しただけの人は、名刺などでは「公認会計士試験合格者」とといった名称となっていますが、
SNSなどで、「公認会計士試験合格者」であるにもかかわらず、「公認会計士」と名乗っている人がいるようです。
公認会計士法48条1項の規定に違反すると、百万円以下の罰金が科せられることがあり(公認会計士法53条2項)、いざ登録する段階となって、
過去の行いが問題になり、登録させてもらえない可能性があります。
悪いことは言いません、気軽に「公認会計士」という名称を使わないようにしましょう。

公認会計士事務所の所在地

監査法人に属さず、他士業の法人や株式会社等に所属する人の事務所所在地は、通常自宅と同一でしたが、
2022年の公認会計士法の改正により、勤務先の登録が義務付けられたので、事務所所在地が勤務先になる人が増えてきました。
「勤務」とありますが、常勤の役員などの場合も「勤務先」として登録が必要な場合があるので、注意です。

監査法人の作り方

弁護士法人、税理士法人、司法書士法人、行政書士法人など様々な士業の法人がありますが、
公認会計士法人というのはなく、監査法人になります。
監査法人の設立には、5人の公認会計士が必要であり、1人や2人で設立できる他士業の法人に比べて、ハードルが高いのです。

外国公認会計士

外国において公認会計士の資格に相当する資格を有し、かつ、会計に関連する日本国の法令について相当の知識を有する者は、内閣総理大臣による資格の承認を受け、かつ、日本公認会計士協会による外国公認会計士名簿への登録を受けて、日本で監査業務ができるようです(公認会計士法16条の2第1項)。ただし、公認会計士第4条に規定される欠格事項(未成年者など)がある人はだめで、さらには公認会計士・監査審査会による試験又は選考が必要なようで、無条件に登録できるわけではないようですね。