経営改善計画に比べて業績が下振れだが、資金繰りは問題ない債務者に対する貸倒引当金

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・農水省検査マニュアル別冊事例13の解説。経営改善計画に比べて業績が下振れだが、資金繰りは問題ない債務者に対する貸倒引当金の自己査定。

・経営改善計画は利益ベースで策定されるパターンが多い。利益ベースの方が作りやすいから?

・しかし、手間はかかるが、資金繰り表の計画も作った方が金融機関に心証がいい。なぜなら、金融機関内部でも融資担当者が上司や融資を審査する部署に説明する際の材料が用意されているから。

・建設や不動産など、売上の計上に至るまで、1年以上かかる業種の場合、資金繰りは死活問題。売上至上主義は理解できるが、受注先からの支払い条件に留意し、中間金を早くもらえるように留意する必要あり。

特殊技術を持つが業績が芳しくない会社に対する貸倒引当金

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・農水省検査マニュアル別冊事例6の解説。特殊技術を持つ会社ながら既存製品の価格競争が激しく、業績が悪化している会社に対する貸倒引当金の自己査定。

・特許権等の財産権はなくても、特殊技術の有無や大手企業からの取引状況等を勘案せよとのこと。

・特殊技術とはいっても、融資先の言い分だけを信じるのは危険。例えば、マニュアルどおりの評価では破綻懸念先だが、特殊技術等を勘案すると、その他要注意先と評価することも可能な場合は、金融機関自身で情報を集める姿勢が必要。

・情報源としては、政府や地方公共団体が公表する統計、業界専門誌が考えられるか?

・地元の他企業からの評判や経営者の行動も重要か?

・大手企業との取引状況については、実際に受注につながるかどうかを検討する必要がある。名前だけ聞くとすごいと思うパターンが多いが、実際はキーパーソンに接触できておらず、将来の受注につながらないというパターンもあるのではないか?

・どういう役職の人と普段接触しているのかヒアリングする必要があるのではないか?

・あと、賞を受けたという点も検討が必要。様々な賞があるが、当該賞の権威についても調べておき、本当に価値のある賞かどうか検討が必要ではないか?

・金融機関がこのような対応をしていなかったら、監査人としては金融機関にこのような対応をしてもらうよう、貸倒引当金の監査で依頼する必要あり

金融機関の貸倒引当金(農林水産業系事業者への融資)

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・一番論点になるのか、「要注意先(要管理先)」か「破綻懸念先」かどうか

・「要注意先」ならば金融機関全体の過去の実績等に基づく貸倒実績率による引当てでいいが、「破綻懸念先」以下であれば、担保等により回収不能と見込まれる部分の全額を引き当てる必要が出てしまう

・「要注意先」に留める手段として経営改善計画が策定され、この計画と実績を比較し、計画が80%程度達成できていれば「要注意先」で問題ないとする実務がある

・「系統金融検査マニュアル別冊[農林漁業者・中小企業融資編](令和3年4月1日最終改正)」の事例では、「気象条件や景気動向等の一時的要因により、経営改善計画等の進捗状況が計画を下回る(売上高等及び当期利益が事業計画に比して概ね8割に満たない)場合がある。そんなときでも杓子定規に判断するな。」といった旨の記述がある。

・景気動向ならともかく、気象条件が一時的というのはどう根拠づけるか?農作物の不作が一時的な気象の影響?虫害の発生が一時的なものか?不漁が一時的な気象の影響か?

・これらの合理的な見積りは金融機関自身ができなければならず、また、会計監査の対象となるような金融機関であれば、会計監査人である公認会計士も理解する必要がある。

・環境庁や各都道府県の自然環境に関する所管課が発表する統計資料をもとに根拠づけるか?だとしたら、各機関のサイトにどのような統計があるのか知っておいた方がいいか?

金融機関の貸倒引当金(投稿日現在に残っている検査マニュアル)

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・金融庁の金融検査マニュアルは廃止されたが、農水省の「預貯金等受入系統金融機関に係る検査マニュアル(令和3年10月19日最終改正)」は現存

・金融庁と同様に、「別冊」もある。「系統金融検査マニュアル別冊[農林漁業者・中小企業融資編](令和3年4月1日最終改正)」

・貸出金の自己査定(貸倒引当金の見積り)を検証するに際しては、実務上は事例が豊富な取り急ぎ「別冊」を参照する場合が多い?

・自然や天候の状況についてどう見積もるか?という模範例があるといいが、「〇〇な場合・・・」と肝心な箇所が仮定の話になっており、使いづらいのではないか?

・農協及び連合会が公認会計士監査の対象になり、漁協及び連合会も2024年4月から公認会計士監査の対象になるのだから、自然や天候の状況に関する合理的な見積りについて当局の見解が聞けないか?

・自然や天候の状況といえば、気象庁が専門で、ここの知恵を借りたいところ。しかし、ここは国交省の外局なので、縦割り行政の昨今、協力は難しいか?

金融機関の貸倒引当金

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・金融機関に対する検査指針として「金融検査マニュアル」があったが、2019年12月に廃止された。このため、各金融機関は自主的に管理指針を決める必要が生まれた。

・貸倒引当金の設定指針も管理指針の一つ。なお、金融機関といってもいわゆる銀行・信金・信組以外にも、農協、漁協やそれらの連合会がある。

・農協等の管轄は金融庁ではなく、農水省。なお、農水省が策定した「金融検査マニュアル」に相当する検査マニュアルは残っている。

・農協等の場合は、融資先が一般事業者ばかりでなく、農業や漁業といった第一次産業従事者であり、自然環境に左右される。

・一方で貸倒引当金の設定には「合理的な見積り」が求められる。自然環境相手なのにどうやって決めればいいのか?

・将来の天候不順や自然災害の発生可能性をどうやって予測するのか?

・人口減少や第一次産業の担い手不足等も織り込み、事業の継続性にも留意する必要があるか?