財産評価基本通達の適用が不適切なパターン

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・財産評価基本通達といえば、相続税の課税標準を計算するに当たって、実務上法律と同等の扱いにされている通達である

・相続税の税務申告を代行する場合、手数料相場に比べて安い場合は、機械的に財産評価基本通達に基づき財産評価を行うパターンが多い

・しかし、東京地裁令和元年8月27日判決は、相続財産のうちの一部の土地及び建物の価額につき財産評価基本通達の定めにより評価することが著しく不適当とした当局側の主張を認めている

・財産評価は機械的に通達に準じているから機械的にOKになるのではなく、通達に準じるにせよ、その他の方法で評価するにせよ、根拠の明確化が必要な時代であると考えられる

ワークフローシステム

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・電子帳簿保存法の改正により、電子データに対しタイムスタンプ等の承認が必要

・これに伴い注目されているのがワークフローシステム

・ワークフローとは、企業等における一連の業務の流れをいい、ワークフローシステムとは、手作業による押印ではなく、システム上で検証・承認作業をしようというもの

・ワークフローシステムは、なんでもいいというものではなく、電子帳簿保存法に適合したシステムでないと導入した意味がないので注意(JIIMA認証と呼ばれる認証があるものを導入する)

・一方で、企業等の業務は、会計や税務申告に関わるものばかりではないため、電子帳簿保存法に適合するという目的においては、導入範囲を絞ることも必要

青色申告の取消し事由

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・青色申告の取消しは、帳簿不提示、仮装隠蔽等が起因。過去に裁判例多数あり。

・電子帳簿保存法への非対応は、Q&Aを見る限りは大丈夫そうには見えるが、例えば、税務調査に使うデータとして、検索性が悪い帳簿を提示しても大丈夫か?

・過去の裁判例では、社会通念上行う努力をもってしても当局が納税者から帳簿を提示してもらえなかった場合は青色申告の取消し事由に当たる等の裁判例があるが、電子帳簿保存法が導入されて、裁判官の判断は変わってしまわないか?

サッカースタジアムの公益性

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・市の公有財産である土地の使用料を免除し、土地の上に建てたサッカースタジアムに係る固定資産税を免除していたことが違法だとされた事案。

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/548492

・当該サッカースタジアムはサッカーチームのホームグラウンドということであるが、下記によると、市民にも開放する予定であった模様。

https://mykoho.jp/article/%E6%A0%83%E6%9C%A8%E7%9C%8C%E6%A0%83%E6%9C%A8%E5%B8%82/%E5%BA%83%E5%A0%B1%E3%81%A8%E3%81%A1%E3%81%8E-no-131-%E4%BB%A4%E5%92%8C3%E5%B9%B43%E6%9C%88%E5%8F%B7/%E5%B2%A9%E8%88%9F%E7%B7%8F%E5%90%88%E9%81%8B%E5%8B%95%E5%85%AC%E5%9C%92%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E5%B0%82%E7%94%A8%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%A0%E7%AD%89%E3%81%AB%E3%81%A4/

・地裁は公益性がないことをもって、違法と判断した模様だが、高裁、最高裁でどうなるか?

・市側は経済効果を根拠に公共性があると主張したが、昨今の状況では難しい主張かも?

・屋外だから経済効果はともかく、公共的なイベントができそうな気もするが、やれてないのであれば、民間の私有物扱いされてもやむをえないか?

・似たような判例としては、公立学校施設の目的外使用の許否の判断と管理者の裁量権が争点の一つとなった最高裁平成18年2月7日第三小法廷判決(民集60巻2号401頁)など参照。

青色申告の承認取消し、税務署職員が青色申告者の帳簿書類の備付け状況等を確認するために社会通念上要求される程度の相当の努力?

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・広島地裁平成7年2月22日判決。これは、税務署職員が納税者を7回訪問しても資料の提出を拒否され、青色申告の承認を取消したもの。

・これは全く資料が閲覧できなかったので、推計課税にいたったもの。

・じゃあ、帳簿書類に相当する資料・データを呈示したが、税務調査担当者が求める水準のものを提示できなかった場合に、青色申告の承認取消しがありうるか?

・検索機能等はないが、納税者側で税務調査担当者から求められたデータを、基礎データの加工により提出したとしても「社会通念」上アウト→青色申告承認取消しなんてありうるか?

青色申告の承認の取消しってどんな場合に起きる?

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・電子帳簿保存法に対応できないと、青色申告の承認を取消しされるかも?という風説が流れている模様。

・過去の裁判例を見ると、いわゆる粉飾決算をした場合、税務調査で要求されたのに帳簿を呈示しなかった場合が典型的。

・じゃあ、電子帳簿保存法が全面適用され、紙面のデータがあるにもかかわらず、電子取引データを呈示できなかったらアウトか?

・過去の裁判例だと「社会通念にそって、呈示を求めたが駄目だった場合」等が青色申告の承認の取消しは適法とされている

・しかし、電子帳簿保存法の適用にともなって「社会通念」なるものは変わるのではないか?

・ということは、電子取引データの呈示を求める趣旨を法律で明確に規定する必要があるのではないか?

・表向きは税務調査の利便性向上は謳われていないのに、強制されるというのは納税者にとって不利ではないか?

軽減税率とはいうが本当に軽減されているか?

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・消費税は社会保障充実と安定のために使われる(消費税法1条2項参照)

・軽減税率があるが、これは食料品や日刊新聞といった品目により軽減されるものであって、高所得者も低所得者も一律の税率

・低所得者にとっては結局軽減になっていないのではないか?

・せめて食料品くらいは非課税にできないか?

・しかし、「非課税」にも問題があり、食料品を売る事業者の食料品による売上を非課税にしてしまうと、仕入に要した費用のうち消費税相当が控除できなくなり、食料品を売る事業者の負担が増す

・その結果、食料品を売る事業者が仕入に要した消費税相当額を売値に上乗せ(転嫁)し、非課税にしたからといって低所得者に対する保護になりえない可能性がある。

・では、代替手段はあるか?