最高裁で地域制限が争点になった事例がある模様。地方自治法以外の法律との関係も整理したい。
カテゴリー: 地方自治法
随意契約ができる場合
随意契約とは、国、都道府県、市町村のような公共団体が行う契約です。通常は契約に関する公平性の確保等のため、競争入札で行いますが、随意契約とは、公共団体と業者が入札を経ずに締結した契約をいいます。
このうち、都道府県、市町村といった地方公共団体が随意契約を行える場合というのは、以下のものがあります(地方自治法施行令167条の2第1項)。
一 一定金額以下の契約の場合
二 契約の性質又は目的が競争入札に適さない場合
三 障害者支援施設等との契約で一定の場合
四 一定の新たな事業分野の開拓を図る者から新役務の提供を受ける契約の場合
五 緊急の必要により競争入札に付することができない場合
六 競争入札に付することが不利と認められる場合
七 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みがある場合
八 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がない場合
九 落札者が契約を締結しない場合
このうち、実務上よく見かけるパターンは「一 一定金額以下の契約の場合」、「二 契約の性質又は目的が競争入札に適さない場合」でしょうか。一なら金額基準が明記されているのでわかりやすいのですが、二はどんな場合が妥当なのかわからないことが多いです。最高裁昭和62年3月20日第二小法廷判決(民集41巻2号189頁)では、「当該契約の目的、内容に照らしそれに相応する資力、信用、技術、経験等を有する相手方を選定しその者との間で契約の締結をするという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を究極的に達成する上でより妥当であり、…そして、右のような場合に該当するか否かは、…法及び令の趣旨を勘案し、個々具体的な契約ごとに、当該契約の種類、内容、性質、目的等諸般の事情を考慮して当該普通地方公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきものと解するのが相当である。」とされています。
そうなると、資力、信用、技術、経験という最低限4要素に関し、随意契約が妥当となる理由を整理しておく必要があることになるのでしょうか。他の業者では代替できない理由を当該4要素に基づき記載するイメージでしょうか。
軽トラ無免許運転で議員辞職
この方、去年の12月に高速道路で160km/hで走行していたところ、速度自動取締り装置(いわゆるオービス)に検知されて、免許取り消し処分になっていたんですね。その後、軽トラを運転していたところ、無免許運転で検挙されたと。
では、免許取り消しの時点で議員辞職しなくていいのか?というところですが、公職選挙法11条で、禁錮以上の刑に処せられた者が被選挙権を有しない者とされます。今回の場合は、スピード違反による免許取り消しで、事故が起きてないことから、免許取り消しという行政罰だけで済み、刑事罰はなかったということで、議員としての身分に影響はなかったということでしょうか。
しかし、免許取り消し後、無免許運転で検挙されてしまっては、事故の有無に関係なく懲役という禁錮以上に重い刑事罰になる可能性があるのでしょう。ということで、刑事罰が確定する前に議員辞職となるのはやむを得ないのでしょうね。
ちなみに、この事件が出るまで、地方議員の身分に関する規定は地方自治法にあるものと勘違いしていましたが、公職選挙法にあるんですね・・・
道路使用許可の申請
道路は公共物なので、お祭り等で使用したい場合は、所轄の行政庁に申請が必要です。
https://www.npa.go.jp/policies/application/shinseisys/index.html
使用許可申請というとまだまだ紙の提出が一般的なようですが、上記サイトにあるように、オンライン申請もできるようになってきたんですね。なお、都道府県によっては上記サイトではなく独自のサイトから申請する必要があるようです。
債務負担行為
国や地方公共団体の予算は単年度で完結するのが原則ですが、将来複数年度にわたる債務(歳出・支出)を負担することも可能です。これを債務負担行為といいます。
複数年度といってもどこまで延ばせるのかが気になりますが、国は原則5か年度以内のようです(財政法15条3項本文)。ただし、国会の議決等によりさらに長い年度にすることも可能です(財政法15条3項但し書き)。
財政法以外の法律で、国の行政機関等又は地方公共団体が自ら実施する公共サービスに関し、その実施を民間が担うことができるものは民間にゆだねる観点から、これを見直し、民間事業者の創意と工夫が反映されることが期待される一体の業務を選定して官民競争入札又は民間競争入札に付することにより、公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図る改革(以下「競争の導入による公共サービスの改革」という。)を実施するため、その基本理念、公共サービス改革基本方針の策定、官民競争入札及び民間競争入札の手続、落札した民間事業者が公共サービスを実施するために必要な措置、官民競争入札等監理委員会の設置その他必要な事項を定めるものとすることを趣旨とする、「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」の30条では、10か年度以内とされています。
それでは、地方公共団体はどうかというと、法律上、上限はありません。議会の承認さえ得れば、何年度分でも可能です。上限はないとはいっても、一度議決されたものをそのまま放置するのではなく、毎年度適切にチェックされていないと、将来的な財政負担増につながりかねないため留意が必要です。
財政的援助団体等とは
地方自治法199条7項に規定される団体等のこと。具体的には以下のとおり。
・当該普通地方公共団体が補助金、交付金、負担金、貸付金、損失補償、利子補給その他の財政的援助を与えているもの
・当該普通地方公共団体が出資しているもので政令(地方自治法施行令140条の7第1項、第2項)で定めるもの(出資比率25%以上の法人)
・当該普通地方公共団体が借入金の元金又は利子の支払を保証しているもの
・当該普通地方公共団体が受益権を有する信託で政令(地方自治法施行令140条の7第3項)で定めるものの受託者(地方公共団体が受益権を有する不動産の信託)
・当該普通地方公共団体が地方自治法244条の2第3項の規定に基づき公の施設の管理を行わせているもの(いわゆる指定管理者)
というわけで、出資だけでなく何らかの金銭的かかわりがある団体を含む。外郭団体という言葉は、地方公共団体により定義が異なるため注意。
島根県 補助金の請求を失念 1千万円損失 担当職員が初めてで…
国→県→補助事業者というお金の流れの補助金ですが、県が国への請求を失念し、国-×→県→補助事業者となってしまったということですかね。
担当職員以外、誰もチェックしなかったというのが不思議です。一定以下の金額ならば、上席者のチェックは不要とする事務だったのでしょうか。