電子帳簿保存法、事業年度と適用時期の関係

最近は話題になることが少なくなった電子帳簿保存法です。その中で、電子取引の取引記録の保存です。電子帳簿保存法の適用は令和6年1月1日からの予定ですが、3月決算会社の場合は、どのように保存するのか。

すなわち、3月決算の会社は、令和5年4月1日から令和5年12月31日までは、改正後の電子帳簿保存法の適用がなく、令和6年1月1日から3月31日までは改正後の電子帳簿保存法の適用があるということになるが、電子取引の取引記録の保存はどのような対応が必要かということになります。

理屈で言えば、12月31日以前の取引は改正前の対応でよく、1月1日以後の取引は改正後の対応が必要となるということになります。

同じ事業年度でも取引の時期により保存方法が変わるというのは気持ちが悪いかも知れませんが、1月1日以後の取引について、改正前の電子帳簿保存法に基づき保存するというのは、今のところ許容されないものと考えられます。なお、12月31日以前の取引について、改正後の電子帳簿保存法に基づき保存するというのは差し支えないと思われます。

貸し付け増やした末… 県の9億円、議員トップの団体から回収困難に

https://www.asahi.com/articles/ASRBJ6VQ0RBJPIHB004.html

またもや自治体の不祥事です。知事の専決で実行していたのか、議会での議決を経た上で実行していたのか、気になるところです。

令和3年度の包括外部監査報告書の218P辺りで貸付先の団体について言及されていますが、実績報告があったけど、検証するルールが整備されていなかったようですね。

国の基準無視、固定資産税算出ミス 還付総額8億円に 岩手・北上市

https://www.asahi.com/articles/ASRBJ7DW6RBJULUC00S.html?iref=pc_ss_date_article

こちらは裁判でなく、市が自ら誤りを認めたんですね。市議のご指摘のとおり、再発防止策の策定が急がれますが、誤りの対象が1994-2011とはどういうことなんでしょうね。2012以降は是正されたのでしょうか?

また、地方自治法で規定される内部統制の整備が義務化されているのは、都道府県と政令指定都市ですが、こちらは政令指定都市ではありません。都道府県や政令指定都市以外でも任意適用は可能なのですが、手間がかかります。全部適用は無理にしても、一部適用とかできる法体系ならいいんですけどね。

なお、合併したのは1991のようです。

フリーランス

 インボイスがらみでよく出てくる「フリーランス」という立場の方々。法令上の定義はないですが、経産省のガイドラインによると、「フリーランス」とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指すとされています。取引先との関係次第では、報酬面や労働面で不利な扱いを受ける場合もあります。

適格請求書発行事業者とは?

インボイス制度が始まりましたが、そもそも適格請求書発行事業者というのはどういう者でしょうか。インボイスを発行できる事業者というだけで、インボイスを誤りなく発行できるとか、そういう事業者を指すのではありません。「適格」とあるので、インボイスを誤りなく発行できる審査を経た上で登録された事業者を指すのかというと、そうではありません。あくまで、消費税がらみで過去に滞納をやったことがないとか、それくらいの意味です。

というわけで、適格請求書発行事業者だからといって、記載事項に不足がないインボイスを発行しているかというと、必ずしもそうではないため、留意が必要です。

外部監査を締結できる行政事務精通者とは?

 国の行政機関において会計検査に関する行政事務に従事した者又は地方公共団体において監査若しくは財務に関する行政事務に従事した者であって、監査に関する実務に精通しているものとして政令で定めるもの(地方自治法252条の28第1項2号)です。

 じゃあ、政令で定めてある事項は何かというと、特定の職の在職期間です。以下の職の在職期間が10年か、会計検査、監査若しくは財務に関する行政事務に関する総務大臣の指定した研修を修了して、以下の職を通算した在職期間が5年以上の場合は、行政事務精通者に該当します(地方自治法施行令174条の49の21、地方自治法施行規則17条の3から17条の6まで)。

・会計検査院において会計検査に関する行政事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、会計検査に関する行政事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする職

・監査委員(都道府県、政令市、中核市のみ)

・監査に関する行政事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、監査に関する行政事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする係長以上の職又はその職務の複雑、困難及び責任の度がこれに相当する専門職(いわゆる監査委員事務局、都道府県、政令市、中核市のみ)

・会計管理者(地方自治法改正前の収入役、出納役含む。都道府県、政令市、中核市のみ)

・会計事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、会計事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする係長以上の職又はその職務の複雑、困難及び責任の度がこれに相当する専門職(会計管理者の権限に属する事務を処理させるための組織である会計事務局や出納事務局等、都道府県、政令市、中核市のみ)

・予算の調製に関する事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、予算の調製に関する事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする係長以上の職又はその職務の複雑、困難及び責任の度がこれに相当する専門職(地方自治法158条の規定により設けられた予算に関する事務を分掌させるための組織である財政課等、都道府県、政令市、中核市のみ)

 というわけで、国家公務員だったから、地方公務員だったからといって必ずしも「行政事務精通者」に該当するわけではありません。なお、会計検査、監査若しくは財務に関する行政事務に関する総務大臣の指定した研修とは、総務省自治大学校で開催されている以下の研修を指すと思われます。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000617534.pdf

 また、行政実務精通者の場合、所属する地方公共団体の外部監査人に就任できない等の制約があります(地方自治法252条の28第3項8号から11号)。