インボイス制度 円滑化のための緩和措置がさらに追加

緩和措置のうち、「免税事業者が課税事業者を選択した場合、納税額を売上税額の2割とする措置(令和5年10月から3年間)」は、簡易課税より優遇されていますね。

なお、この措置は元から課税事業者の人には適用されないため、注意です。令和5年9月までの期間において消費税が課されることになる事業者は対象外となります。

「Q&A地方公共団体インボイス交付対応の実務」

https://shop.gyosei.jp/products/detail/11388

上記サイトでは著者名が出ていないのですが、「月刊地方財務」という地方公務員の方向けの雑誌の付録で「Q&A地方公共団体インボイス交付対応の実務」という冊子を作りました。A5版で100頁ほどの冊子です。この冊子だけ別売りすることも決まっているので、販売サイトができましたら、改めてお知らせいたします。

インボイスと独禁法

インボイス導入により、免税事業者は課税事業者との取引ができなくなるんじゃないかという話もあります。インボイス導入後、6年間は経過措置があるので、いきなり取引が打ち切られるということはないと思っており、仮にあるとすればインボイス導入以外の原因かと存じます。なお、インボイスと独禁法のQAでは課税事業者側が税込の取引価額を一方的に著しく引き下げる等の場合は独禁法に抵触するかもしれないそうです。

経過措置があるといっても、仕入税額控除が満額できないため、できる分まで税込の取引価額を引き下げようとすることもあるでしょう。

こういうのは独禁法上どうなるか?というと、インボイスと独禁法のQAを見る限り、許容範囲に見えます。インボイスと独禁法のQAでは、やはり、税込の取引価額を一方的に著しく引き下げる等の場合は独禁法に抵触するかもしれないそうです。

というわけで、取引価額の再交渉を行い、支払額を現状と同様にしてもらうように交渉するか、消費税分の引き下げを甘受するか、あるいは、課税事業者になって消費税を納めるかという形になるのでしょうか。なお、消費税の計算方法に簡易課税というのがありますが、この方法をとることにより、原則的な計算をした場合に比べて納める消費税が多額になる可能性もあります。なお、原則的な計算は業種にもよりますが、税理士が関与していないと一からやるのは困難と思います。

インボイスの様式対応

インボイスの記載事項は以下の6つです。

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産
の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及
び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等(消費税額及び地方消費税額に相当する金額の合
計額をいいます。以下同じです。)
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

インボイスは手書きで作成してもOKとされていますが、ネックになるところが④及び⑤でしょうか。複数税率が併存している業種だと面倒ですね。

なお、⑥も案外面倒かもしれません。会社員が会社経費になるものを立替購入したときなどは、いちいちインボイス発行になりますし、インボイスの控えとして交付先の名前を残さないといけないですし。なお、名前とは、立替購入した人の氏名ではなく、立替購入した人が所属する法人等の名前になるので留意が必要ですかね。

インボイス

いわゆるインボイス制度適用後の新消費税法57条の4第1項は、「適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等…を行った場合…において、当該課税資産の譲渡等を受ける他の事業者…から次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(…適格請求書…)の交付を求められたときは、当該課税資産の譲渡等に係る適格請求書を当該他の事業者に交付しなければならない。…」とあります。

上記青線のように、「適格請求書(インボイス)の交付を求められたとき」とありますが、取引の相手方でインボイスを求めない人なんているんだろうか?と思いました。

一般消費者が相手の商売(B to C)ならまあ理解できますが、個人事業主や法人が相手の商売(B to B)だと求められなくても出しますよね?この条文は、B to Cを想定した書きぶりにしてあるんでしょうか?

「交付をしてはならない旨」の規定はないので、一律に交付しておけば問題ないんでしょうが、気になったところ。

※ 交付義務が免除されるパターンもあるのですが、今回の投稿では対象外にしています。