監査報告書の署名者

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・監査報告書の署名者は、ローテーションがあり、監査契約が続く限り、いつまでも署名できないようになっている

・筆頭の責任者が5年、その他の署名者が7年というのが一般的なルールと思われる

・このローテーション制度は、被監査会社とのなれ合い防止を目的とする

・しかし、会社との信頼関係構築も重要ではないか?5年で会社との信頼関係を作れるかというと難しいのではないか?

・グレイステクノロジー等の粉飾決算も、監査法人との信頼関係を構築できず、経営陣が暴走した結果ではないか?

・現状、監査法人は、経営者とのディスカッションといい、経営者と何らかのコンタクトをとっているが、儀式的なものにすぎないのではないか?

・経営者と腹を割って話し合い、信頼関係を築こうとすると、むしろ、筆頭の責任者は最長15年くらいのローテーションでもいいのではないか?

補助金の公益性

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・ 地方自治法232条の2は、公共団体は「その公益上必要がある場合」においては寄附又は補助をすることができる旨を規定している

・公益性の判断であるが、地方公共団体が関係団体の赤字を補填するための補助金でもOKとされた事例がある

・「陣屋の村」補助金住民訴訟というもので、最高裁平成17年10月28日判決(民集 59巻8号2296頁)によると、「陣屋の村は、町の豊かな自然を生かし、住民に自然に親しむ機会を与えるとともに、都市との交流を促進するという目的で設置された農林漁業体験実習施設、食堂、宿泊施設等から成る公の施設であり、振興協会は、陣屋の村の管理及び運営の事業を行うことを目的として町により設立されたものであって、町から委託を受けて専ら陣屋の村の管理及び運営に当たっているというのであるから、その運営によって生じた赤字を補てんするために補助金を交付することには公益上の必要があるとした町の判断は、一般的には不合理なものではないということができる。
 そして、本件条例が陣屋の村を設置することとした目的等に照らせば、仮に振興協会による事務処理に問題があり、そのために陣屋の村の運営収支が赤字になったとしても、直ちに、上記目的や陣屋の村の存在意義が失われ、町がその存続を前提とした施策を執ることが許されなくなるものではないというべきである。そうすると、本件雇用によって赤字が増加したという事情があったからといって、それだけで、陣屋の村を存続させるためにその赤字を補てんするのに必要な補助金を振興協会に交付することを特に不合理な措置ということはできない。
 加えて、前記事実関係等によれば、Aは、振興協会の理事長として、食堂営業の収入を増加させるため和食調理の腕の立つ調理員を採用すべきであると判断して本件雇用を決定したものであり、人件費の増加による赤字の発生の防止についても一応の見通しを持っていたものというべきであって、同人が本件雇用をしたことや、本件雇用をした平成8年9月から平成8年度の末日である平成9年3月末日までの間に他の調理員を解雇する措置に踏み切らなかったことが、経営上の裁量を逸脱した放漫な行為であったとはいえない。」として、公益性がないものとは言い切れない旨を示した

・というわけで、補助金の公益性というのはかなり幅広いような印象を受ける?

・ただ、裁判官の一人の反対意見もあり、地方公共団体の首長とこのような団体の代表者が同一の場合、議会で可決されたからといって直ちにOKとも言い切れず、実質的な審議が必要な点、補正予算で当初予算の2.5倍の金額が可決されたというのに、実質的な審議を経ないまま可決されたので、直ちにOKとは言い切れないという。

・地方公共団体の議会は会議録があるので、実質的な審議が行われたかどうかは事後的に判明する

・ただ、予算を可決する段階で実質的な審議を行えるかどうかというと実務的に無理な話であり、予算が策定される前に実質的な審議を行っておき、安易な予算措置を許さない姿勢が必要ではないか?

会計監査に強制捜査権?

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・グレイステクノロジーのような得意先を巻き込んだ不正だと、通常の監査手続による発見は困難だから、強制捜査権が必要では?という考えがある模様

・会計監査は国から公認会計士に委託があるのではなく、公認会計士と会社との契約によるもの

・したがって、私人間の契約にすぎず、これに警察や国税査察官のように、強制捜査権をつけるのは難しいと思われる

・現実的には罰則の強化により未然に牽制するくらいしかやりようがないのでは?

青色申告の取消し事由

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・青色申告の取消しは、帳簿不提示、仮装隠蔽等が起因。過去に裁判例多数あり。

・電子帳簿保存法への非対応は、Q&Aを見る限りは大丈夫そうには見えるが、例えば、税務調査に使うデータとして、検索性が悪い帳簿を提示しても大丈夫か?

・過去の裁判例では、社会通念上行う努力をもってしても当局が納税者から帳簿を提示してもらえなかった場合は青色申告の取消し事由に当たる等の裁判例があるが、電子帳簿保存法が導入されて、裁判官の判断は変わってしまわないか?

サッカースタジアムの公益性

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・市の公有財産である土地の使用料を免除し、土地の上に建てたサッカースタジアムに係る固定資産税を免除していたことが違法だとされた事案。

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/548492

・当該サッカースタジアムはサッカーチームのホームグラウンドということであるが、下記によると、市民にも開放する予定であった模様。

https://mykoho.jp/article/%E6%A0%83%E6%9C%A8%E7%9C%8C%E6%A0%83%E6%9C%A8%E5%B8%82/%E5%BA%83%E5%A0%B1%E3%81%A8%E3%81%A1%E3%81%8E-no-131-%E4%BB%A4%E5%92%8C3%E5%B9%B43%E6%9C%88%E5%8F%B7/%E5%B2%A9%E8%88%9F%E7%B7%8F%E5%90%88%E9%81%8B%E5%8B%95%E5%85%AC%E5%9C%92%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E5%B0%82%E7%94%A8%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%A0%E7%AD%89%E3%81%AB%E3%81%A4/

・地裁は公益性がないことをもって、違法と判断した模様だが、高裁、最高裁でどうなるか?

・市側は経済効果を根拠に公共性があると主張したが、昨今の状況では難しい主張かも?

・屋外だから経済効果はともかく、公共的なイベントができそうな気もするが、やれてないのであれば、民間の私有物扱いされてもやむをえないか?

・似たような判例としては、公立学校施設の目的外使用の許否の判断と管理者の裁量権が争点の一つとなった最高裁平成18年2月7日第三小法廷判決(民集60巻2号401頁)など参照。

気候変動関連財務情報

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・気候変動に伴い、自社の業績に与える影響を整理する必要あり(特に食品水産業)

・気候変動に伴い取り得るアクション、社会の変動(脱炭素社会の加速に伴う事業構造の転換等)を踏まえたシナリオも整理

・範囲が膨大すぎるので、取るべき行動に優先順位をつけるとともに、行動の進捗度を評価する指標も決定する?

グレイステクノロジー

 グレイステクノロジー、財務数値がおかしかったから見抜けたはずだといった後出しじゃんけんのような批判がある。監査チームとしては見抜けてはいたけど、あれだけの偽装工作をされてしまっては、粉飾だという主張は難しかったのではないか。

 ただ、監査契約の解除が決断できなかったのが不思議。大手監査法人の監査報酬水準からして、採算がよろしくないように考えられますが。調査報告書を読む限り、パワハラ体質の経営陣だったから、監査人への当たりもきつく、解除にはもっていけなかったということか?