災害を受けた場合の税金に関する対応

今回の台風は日本全国に影響がありそうです。なるべくなら被害を受けたくないですが、被害を受けてしまった場合の税金に関する対応を書きます。

申告・納期限の延長

 国税(所得税、法人税、消費税、相続税など)の場合、国税庁長官が、地域および期日を指定して、その申告、納付等の期限を延長することがあります(国税通則法11条)。これにより、指定された地域内に納税地のある納税者については、期限延長の申請手続を特別にすることなく、申告、納付等の期限が延長されます。地域および期日の指定は、指定され次第、官報に掲載されることになります。

 なお、地域指定による期限延長は、指定地域内に納税地のある納税者に限られますので、指定地域内に事業所等を有する納税者であってもその納税地が指定地域外の地域にある場合は、申告、納付等の期限は自動的に延長されず、納税地の所轄税務署長に申請することにより、その理由のやんだ日から2か月以内に限り、申告、納付等の期限が延長されます。(支店や別拠点が災害を受けた場合の対応)

 地方税の場合は、条例でルールが規定されていることが多いです。納税地の条例を確認してもらえれば、国税と似たようなルールが規定されていることが多いです。

非課税取引(国等の手数料)

➀法令(当該規定では、地方公共団体の条例等も含む取扱いなので注意)に事務が定められている手数料かつ②法令に基づき手数料を徴収する規定となっているものが該当。

➀を満たし、②は満たさない手数料についても一部該当(国家試験の受験手数料、資格証明書発行手数料等)。

というわけで、国等の手数料であっても、①法令に事務の定めがない手数料、②法令に事務の定めはあるが、当該法令に手数料を徴収する規定がない手数料で、消費税法に規定がないものなどは消費税が課税されるので、注意が必要。

相続・贈与税のあり方議論

相続税と贈与税のあり方を議論する専門家会合が設置されるようですね。相続税も贈与税は、法律の体系としてはどちらも相続税法に規定されています。

しかし、当事者の資産状況に応じて、相続税がかかるようにしてみたり、相続税がかかるまえに一部の相続予定財産を移転して贈与税がかかるようにしてみたりして、税負担を不当に軽減するといった方法が流行っているようで、納税者の公平性を担保する等の目的で議論を進めるようです。以前から相続税と贈与税の一体化の議論がありましたが、本格的に進むのでしょうかね。

非常に簡単な債券価格の計算

コンソル債(永久債)と言われる、償還が永遠にないという前提の債券価格の算式です。

債券価格=契約に基づきもらえる1年間の利息÷現時点の市場における利率

現時点の市場における利率というのは、「利回り」と言われる数値と考えてもらえれば大丈夫です。したがって、利回りが上昇すると債券価格が下落するという反比例の関係にあります。

今回の記事はコンソル債が前提となっていますが、償還がある通常の債券でも、上記の反比例の関係は成り立ちます。ニュースで、日本の10年国債利回りがどうなったとかいうのがありますが、利回りが上がっていたら、国債の価格が下落している。すなわち、日本の国債の信用力が低下している。その結果、為替レートが円安になったりするみたいな感じです。

インボイスの様式対応

インボイスの記載事項は以下の6つです。

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産
の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及
び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等(消費税額及び地方消費税額に相当する金額の合
計額をいいます。以下同じです。)
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

インボイスは手書きで作成してもOKとされていますが、ネックになるところが④及び⑤でしょうか。複数税率が併存している業種だと面倒ですね。

なお、⑥も案外面倒かもしれません。会社員が会社経費になるものを立替購入したときなどは、いちいちインボイス発行になりますし、インボイスの控えとして交付先の名前を残さないといけないですし。なお、名前とは、立替購入した人の氏名ではなく、立替購入した人が所属する法人等の名前になるので留意が必要ですかね。

インボイス

いわゆるインボイス制度適用後の新消費税法57条の4第1項は、「適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等…を行った場合…において、当該課税資産の譲渡等を受ける他の事業者…から次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(…適格請求書…)の交付を求められたときは、当該課税資産の譲渡等に係る適格請求書を当該他の事業者に交付しなければならない。…」とあります。

上記青線のように、「適格請求書(インボイス)の交付を求められたとき」とありますが、取引の相手方でインボイスを求めない人なんているんだろうか?と思いました。

一般消費者が相手の商売(B to C)ならまあ理解できますが、個人事業主や法人が相手の商売(B to B)だと求められなくても出しますよね?この条文は、B to Cを想定した書きぶりにしてあるんでしょうか?

「交付をしてはならない旨」の規定はないので、一律に交付しておけば問題ないんでしょうが、気になったところ。

※ 交付義務が免除されるパターンもあるのですが、今回の投稿では対象外にしています。

支配人

支配人とは、会社や商人に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する商業使用人とされる(会社法11条1項、商法21条1項)。商人とはいわゆる個人事業主をイメージしてもらえるといいと思います。

個人事業主でいう支配人とは、株式会社でいう代表権を持った取締役を自分以外に選任するイメージですかね。なお、支配人を選任したときは、登記が必要です(会社法918条、商法22条)。また、会社の本店・支店の事業の主任者であることを示す名称又は商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、実際に支配人として選任されているか否かに関わらず、支配人とみなされることになります(会社法13条、商法24条)。

したがって、安易に「支配人、支店長」といった肩書を与えると、肩書を与えられた人が会社の意思にそぐわない取引を行った場合、後処理が面倒となる可能性があります。立派な肩書を与えることで、使用人・従業員を鼓舞する効果がありますが、注意が必要です。