インボイス古物商特例

仕入れ先が個人などインボイスを発行しないのなら、インボイスをもらわなくてもいいのに、相手がインボイスを発行事業者だともらう必要があるので注意です。10月1日から適用される新消費税法施行令49条1項1号ハ(1)に「(適格請求書発行事業者を除く。ハにおいて同じ。)」とあるので、これを見落としてはいけません。

また、インボイスをもらわなくていいのは、売り物にする古物であって、例えば、事業に使う中古車を購入した場合は、インボイスをもらう必要があるので、注意です。

信託財産に係る資産の譲渡等の帰属

消費税法14条ですね。信託での登場人物は、受益者と(受益者の資産を運用する)受託者です。信託の受益者は、信託の信託財産に属する資産を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に係る資産等取引は当該受益者の資産等取引とみなして、この法律の規定を適用するとあります(消費税法14条1項本文)。信託だと、信託財産は受託者の所有になりますが、消費税法上は信託財産に係る取引は、受益者の取引と見なして、消費税法が適用されるという意味です。

ただし、法人税法2条に規定される、集団投資信託、法人課税信託、退職年金等信託、特定公益信託はこの限りではありません(消費税法14条1項ただし書)。ということで、集団投資信託等の場合は、受益者ではなく、受託者の取引として、消費税法が適用されることになります。

課税期間

消費税の課税期間ですね。個人なら暦年、法人なら事業年度になるのですが、届出により1か月ごと3か月ごとに短縮することも可能です(消費税法19条1項)。ですので、「課税期間」が単純に12か月と思い込むのは誤りのもとです。

国税関係の届出期限

国税関係の申告とか届出は、期限があるものについては、休日等は翌日までOKとされています(国税通則法10条2項)。条文に「○日前までに」や「月末までに」等の記載がある事項は適用されますが、適用していた事項を取りやめるための届出など、条文に「○○日までに」といった規定がないものは、適用されません。

というわけで、申告や届出は余裕をもってやったほうがいいという話でした。大型連休を挟む可能性がある5月や年末年始などは気をつけたいところです。

媒介者特例

インボイスの話です。媒介者特例で、国や地方公共団体が公売で税金を滞納した人から不動産等を差し押さえて、公売等により第三者に譲渡する場合のインボイスです。公売は、国等が売買当事者にならない(国税徴収法に基づいて他人のものを売買しているにすぎないというのが通説のようです(民法の解説書など)。

というわけで、インボイスは不動産等の所有者である滞納者から、公売で購入を希望する者に対して交付することになるのですが、10月からの新消費税法施行令70条の12第5項では、滞納者からではなく国等からインボイスを交付すればOKで、国等はインボイス登録がなくてもOKとしています(インボイスのQA48)。地方公共団体はインボイスの登録をしていると思いますが、国はしないと思われるので、配慮したんですかね。

ただし、これは滞納者がインボイス登録をしていることが前提です(新消費税法施行令70条の12第5項)。これから、緩和措置などが追加されるかもしれませんが、現時点の条文を見る限り、滞納者がインボイス登録されていないと、公売で買った不動産等に係る消費税は、仕入税額控除の対象にならないように思います。なお、公売は、現在のところ、インボイスの入手が困難で帳簿作成のみだけでOKという特例にもそれらしき規定が見当たりません(新消費税法施行令49条1項、新消費税法施行規則15条の4)。

じゃあ、購入側はどうやって仕入税額控除の対象かどうか調べるかということですが、公売のウェブサイト等で、滞納者がインボイス登録しているかどうか等の情報があるかどうかを判断するくらいしかやりようがないですかね。なお、公売で不動産を買うとしても、土地であれば非課税取引になるので、そもそもインボイスは不要です。