労働組合で横領

https://friday.kodansha.co.jp/article/279240

労働組合って規模に関係なく公認会計士の監査を受ける必要があるのですが(労働組合法5条2項7号)、罰則はないんですね。

このような横領に限らず、多額のお金を管理し、第三者のチェックがないとなると、無駄遣いなども発生する懸念があると考えます。さらに、そもそも法律に規定された義務を履行せずに会社に対して権利を主張するというのも変ではないでしょうか。

Aの場合(B又はCを除く)

法律の読み方の整理です。表題のような条文があった場合、どのようなAが該当するでしょうか?

・BであるA

・CであるA

・BかつCであるA

なんとなく、BであるA及びCであるAが該当するようなイメージですが、実はBかつCであるAのみが該当します。なんで唐突にこんなことをかいたのかというと、信用組合の監査対象がわからなかったためです。会計士の監査対象となる信用組合は、

信用協同組合(政令で定める規模に達しない信用協同組合又は員外預金比率が政令で定める割合を下回る信用協同組合を除く。)

とされています。規模とは預金等総額が200億円未満、員外預金比率とは10%未満をいいます。員外預金比率とは、非常に簡単にいうと出資者以外の人の預金の割合みたいなイメージです。最初の事例にあてはめると、会計士の監査対象となるのは、

・預金等総額が200億円以上(員外預金比率が10%未満)

・員外預金比率が10%以上(預金等総額が200億円未満)

ではなく、預金等総額が200億円以上かつ員外預金比率が10%以上の信用組合が会計士の監査対象となることになります。

ちなみに信用金庫の会計士の監査対象は、員外預金比率の規定はなく、預金等総額のみとなります。

漁協等への公認会計士監査

数年前に農協等への公認会計士監査が導入されましたが、続いて漁協等への公認会計士監査も導入されます。組合員の貯金又は定期積金の受入れを行う組合は公認会計士監査が必要です(水産業協同組合法41条の2第1項、11条1項4号)。組合員の貯金又は定期積金(以下「貯金等」といいます。)の受入れを行うというのは、いわゆる銀行業ですね。それでは、銀行業を行っている漁協等はどこかというと、銀行コードがある漁協等が該当すると考えられます。

漁協等の銀行コードは以下のとおりです。

https://zengin.ajtw.net/linkcate9.php

なお、銀行業を行う漁協等がすべて対象かというと、事業年度開始時の貯金等の合計額が200億円未満の漁業協同組合又は水産加工業協同組合は対象になりません(水産業協同組合法施行令11条1項)。しかし、銀行コードがある漁協等の数を見る限り、47にも満たないことから、各都道府県に必ず1つあるような組織ではなく、複数の都道府県から貯金等を受け入れているところが大半と思われます。したがって、基本的には銀行コードがある漁協等は対象になると考えたほうがよさそうです。

監査人交代

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB095AW0Z00C22A8000000/

上場企業で最近多いようなので。いわゆる大手と呼ばれる監査法人は、日経平均株価の算定基礎になるレベルの企業の監査は受ける、そうでない場合で、監査法人側からの値上げ要求に応じない場合は監査法人の方から断る場合もあるとのことです。

大手監査法人に断られた会社は、中小監査法人への契約を打診するという流れがとまりそうもないですね。要求される作業は増加の一途で、会社側にも相応の負担が生じるため、監査法人からの要求に耐えられるところでないと上場できない流れになりそうです。

とはいえ、要求される作業が増加したからといって、必ずしも企業の不正が事前に発見できるようにならないのが悩ましいところです。

専門業務実務指針4461「仮想通貨交換業者における利用者財産の分別管理に係る合意された手続業務に関する実務指針」

仮想通貨(暗号資産)交換業者の顧客資産の分別管理ですが、公認会計士による「合意された手続」の実施があるんですね。「合意された手続」というのは、交換業者と公認会計士との合意です。証券会社の分別管理だと「法令遵守に関する保証業務」になり、保証水準が違いますね。

「合意された手続」だと、一部の手続のみですが、「法令遵守に関する保証業務」だとそうはいかず、金銭・顧客資産の管理等多岐にわたる分野に関する保証となり、一見似ていますが、かなり違います。

今回のFTX事件を受けて、暗号資産交換業者に対しても「法令遵守に関する保証業務」を求められる方向にいくんでしょうか・・・?

不正疑いの北谷町認可保育園 二度目の確認監査

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/186440?display=1

人手不足なのでしょうか?保育園など学校法人の会計監査で人件費を検証する際は、必ず当該人員が実在していることを確かめますね。ここの場合は、タイムカードの偽装など、手の込んだことをやっていたのかもしれませんが・・・