電子帳簿保存法、事業年度と適用時期の関係

最近は話題になることが少なくなった電子帳簿保存法です。その中で、電子取引の取引記録の保存です。電子帳簿保存法の適用は令和6年1月1日からの予定ですが、3月決算会社の場合は、どのように保存するのか。

すなわち、3月決算の会社は、令和5年4月1日から令和5年12月31日までは、改正後の電子帳簿保存法の適用がなく、令和6年1月1日から3月31日までは改正後の電子帳簿保存法の適用があるということになるが、電子取引の取引記録の保存はどのような対応が必要かということになります。

理屈で言えば、12月31日以前の取引は改正前の対応でよく、1月1日以後の取引は改正後の対応が必要となるということになります。

同じ事業年度でも取引の時期により保存方法が変わるというのは気持ちが悪いかも知れませんが、1月1日以後の取引について、改正前の電子帳簿保存法に基づき保存するというのは、今のところ許容されないものと考えられます。なお、12月31日以前の取引について、改正後の電子帳簿保存法に基づき保存するというのは差し支えないと思われます。

請求書を電子データと紙のデータ、両方受け取った場合の対応

久々に電子帳簿保存法関連です。電子データと紙のデータ、両方受領した場合の取扱いです。電子データが正のデータとされると、電子取引となり、電子データを印刷して保存しておくという今までの実務が認められなくなる?とのことです。

結論から申し上げますと、紙のデータがあれば十分であり、特別な対応は不要と考えます。全く同一の内容であれば、電子データは紙にも出力したデータをデータのままで相手方に送付したものにすぎないからです。

なお、電子データで正本とか副本とか持ち込んで説明する人もいますが、電子データに正本も副本もありません。すべて同一です。また、紙のデータでも正本と副本の区別というのは当事者間で決める者かと思います。通常は、「控えとして・・・」とか「請求書(控)」のように、正本と副本を区別するための記載があるので。

電子署名とeシールの違い

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・電子署名→署名者の「意思」を表すもの

・意思というのは、自分で●●したいという意味ではなく、契約当事者間で契約に合意する等のことを指す

・電子署名は各個人に帰属するため、契約等での署名に用いられるが、eシールは、ある法人が当該電子データを作成したことを証明するものにすぎないため、契約で使うものではないという整理のようである

・当事者の意思は不要だが、大量に発行する必要がある請求書、見積書、領収書等に使用されることが想定されるのがeシールとのこと

・ヨーロッパではeシールにも法的効力を持たせる動きがあるようだが、日本は検討中。日本企業がヨーロッパ企業と取引するときに支障が出ることはないか?

リモートワークに伴う業務プロセス・内部統制の変化への対応(提言)(IT委員会研究報告第56号)

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・財務諸表監査では、決算の数字のみならず、その数字が計算されるまでの業務プロセスも把握して、妥当かどうか評価の対象とする。業務プロセスの中でのチェック機能等を内部統制という。本報告は、被監査会社側でもリモートワークが増えてきたので、それに伴う内部統制の変化にどう対応するか提言するもの。

・文書の電子化等の部分的対応が見られるが、進捗度は芳しくないとのこと。変化への対応が嫌いな方が多い?

・監査する会計士の側も電子文書にアレルギー?昨今の不正事例続出からすると、文書も残してほしいが、電子帳簿保存法との兼ね合いもあり、被監査会社に余計な手間をかけさせるのはいかがなものか?

・文書の偽造に留意するのはもちろん、当該取引に伴う資金の流れを愚直に追いかけるしかないか?