所得税法で、事業所得がありますが、この事業よりも幅広く捉えられます。ですので、消費税が課される取引は案外多いです。しかし消費税相当がくを支払った方が必ず全額控除できるのかというと、そうではなくて、全額控除のためには、インボイスの保管と、帳簿の作成が必要になります。
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会費に関する仕入税額控除
明確な対価関係という切り口で検討されることが多いですが、そもそも事業」に該当してるのかという切り口からは検討されることがない印象です。
例えば、懇親会費なんてどうなんでしょうね。
総務省インボイスQA
https://www.soumu.go.jp/main_content/000902514.pdf
地方公共団体向けですが、参考になります。
適格請求書発行事業者からインボイスをもらえなかった場合の経過措置適用の可否
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0521-1334-faq.pdf
問い合わせが多い質問のQ7に回答がありますね。問題がないということのようです。下記記事では問題になるかもと書きましたが、大丈夫でした。
なお、「区分記載請求書等」というのは、インボイス制度直前まで適用されていた、請求書等の様式です。「区分記載請求書等」に登録番号が加わると「インボイス」になります。
インボイス制度適用以前から、「区分記載請求書等」を作成している事業者なら大丈夫かと思いますが、インボイス制度適用を機にインボイスを交付し始めた事業者の場合は、「区分記載請求書等」にも該当しない請求書等を交付してくることが想定されるため、注意しておきましょう。
適格請求書発行事業者とは?
インボイス制度が始まりましたが、そもそも適格請求書発行事業者というのはどういう者でしょうか。インボイスを発行できる事業者というだけで、インボイスを誤りなく発行できるとか、そういう事業者を指すのではありません。「適格」とあるので、インボイスを誤りなく発行できる審査を経た上で登録された事業者を指すのかというと、そうではありません。あくまで、消費税がらみで過去に滞納をやったことがないとか、それくらいの意味です。
というわけで、適格請求書発行事業者だからといって、記載事項に不足がないインボイスを発行しているかというと、必ずしもそうではないため、留意が必要です。
インボイスでのトラブル
インボイスをもらわなくてもいいのにもらおうとするトラブルがあるようです。①特例に該当する取引でインボイスをもらう必要がない場合、②複数の書類やデータを組み合わせれば、インボイスをもらったのと同じなのに、なお、何らかの書類又はデータを要求しようとしている場合などがあげられます。
小売店などでは、レシートがインボイスとなっていることが多く、インボイスは一律に交付されるものと勘違いする人もいるようですが、消費税法上の規定は、インボイスの交付は、課税事業者から交付を求められたときに交付すればいいのが原則です(消費税法57条の4第1項)。
消費税法上の帳簿
世間はインボイス(請求書等)の話題で持ちきりですが、仕入税額控除に当たっては、適切な帳簿の作成も必要です。東京地裁平成9年8月28日判決では、「法は、仕入税額控除の要件として保存すべき法定帳簿には、課税仕入れの年月日、課税仕入れに係る資産又は役務の内容及び支払対価の額とともに真実の仕入先の氏名又は名称を記載することを要求しているというべきである。」と判示しているので、帳簿への記載もいいかげんにできないということです。
この判決は東京高裁平成10年9月30日判決から、最高裁平成11年2月5日第二小法廷決定まで行っているので、重要です。