300万円以下の所得だったら反証がない限り、事業所得ではなく雑所得とする通達案が出ていましたが・・・
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000242043
300万円の金額基準が消えましたね。その代わりに帳簿書類の保存の有無という文言が加わりました。パブリックコメントという形で公に募集していたのですが、パブリックコメントに基づき内容を見直すのって珍しいですね。
全国対応の公認会計士越田圭事務所(北陸地方の石川県金沢市所在)
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300万円以下の所得だったら反証がない限り、事業所得ではなく雑所得とする通達案が出ていましたが・・・
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000242043
300万円の金額基準が消えましたね。その代わりに帳簿書類の保存の有無という文言が加わりました。パブリックコメントという形で公に募集していたのですが、パブリックコメントに基づき内容を見直すのって珍しいですね。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410040064
先日も投稿したこちらの件。仮に事業所得ではなく、雑所得にされてしまった場合の影響を考えてみました。大半が税額が増える方向への影響です。
・事業所得がマイナスになった場合、給与所得と当該損失を相殺できなくなる(いわゆる損益通算ができなくなる)
・青色申告で申告する場合、55万円又は65万円の特別控除が受けられなくなる(雑所得では青色申告できません)
・青色事業専従者給与の計上ができなくなり、必要経費が減る(ただし、これは上記の特別控除と異なり、計算上だけで税額が減るのではなく、給与の支給により現金が出ていく話です。というわけで、税額が増える方向への影響はありますが、資金繰りへの影響はないといえます。)
・貸倒引当金の計上ができなくなり、必要経費が減る(いわゆる掛け商売、信用商売のような事業でない場合は、元から計上していないので影響ありません)
・純損失の繰越し又は繰り戻し(事業所得で損失が出た場合、翌年度以降得られるであろう所得と相殺し、翌年度以降所得があった場合の税額が減ることになります。また、前年から青色申告しており、前年所得計上、当年損失(所得がマイナス)の場合、前年に支払った所得税額の還付が受けられます。)
・銀行等から融資を受ける場合の年収額に含めてもらえなくなる可能性あり(雑所得だと年収に含めてもらえず、事業所得扱いされる場合に比べ、年収額が減ってしまうことから希望額の融資が受けにくく懸念あり)
色々と挙げてみましたが、最後の融資の受ける場合の年収額に含めてもらえなくなる可能性があるというのは切実かと思います。前回の投稿と繰り返しになりますが、300万円を超えなかったら一律に雑所得とされてしまうような実務にはならないと考えられるため、「事業」だという反証ができるよう準備しておく必要があります。
不動産オーナーの中には、いわゆる民泊で収入を得ている人もいます。民泊は、業種でいえば簡易宿泊業に分類されますが、不動産を貸し付けているという側面も否定できません。
それでは、副業として民泊により収入を得た場合の所得区分は、どう考えればいいでしょうか。日本の所得税法では、不動産を貸し付けたことにより得た収入は、不動産所得とされます。しかし、不動産を貸し付けるというと、借りる側からすると、住所を得たい、生活の拠点を得たいといった意思があると考えられます。
この点、民泊は、不動産の利用者側からすると、旅行中の拠点を確保しておくという側面があり、不動産を借りて生活の拠点を得るという側面はないものと思います。
ということは、民泊から得られた収入は、不動産所得ではなく、また、副業にすぎないということであれば、現行法上は、雑所得と区分するのが適切ではないかと考えられます。
・本人の口座から直接というわけではないが、オンラインカジノの代金決済で使用したと思われる会社から自治体へ返還があった模様?
・とすれば、本人としては所得を得た形ではなく、4630万円の未払金を決済代行会社に対して背負ったということ?
・報道で聞く本人の収入を見る限りは返済がかなりきつい債務ですが・・・
・最初に最高裁で判示されたのは、最高裁平成17年1月25日第三小法廷判決。
・これは、一時所得か給与所得かで争われ、給与所得になったもの
・ストック・オプションは、会社役員等に、株式を一定の行使価格で購入できる権利を付与するものであるが、当該取締役やストック・オプションを駆使して自社株を市場価格より割安に購入し、これを時価で売却して利益を得たというもの。
・この際の売却益が給与所得と認定された。以前は、ストック・オプションを使って得た利益は一時所得になるという国の取扱いがあったが、後出しじゃんけんのように、ひっくり返されてしまった事例
・株式の売却益は偶然性がありそうに見えるが、これだけでは一時所得の要件をみたさないと認定されてしまった
・このように、国の取扱い変更が遡及的に否定される事例もあり、以前に書いたような通達の取扱いが急に変わる可能性もあるので、留意したいところ。
・当該売却益を得られた原因としては、適切なタイミングで売却したことよりも、そもそも割安に購入できる権利を、役員としての役務の対価としてもらえたことに着目したので、給与所得と認定した?
※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。
・前回、一時所得にするのはハードルが高いと書きましたが、そもそも一時所得の定義は?
・一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます(所得税法34条1項)。
・この「利子所得…以外の所得のうち」というのが曲者で、一時所得に該当する所得というのは、これら所得区分に該当しないことを確認したうえでないと、一時所得として申告するのはやめたほうがいいです。
・単純に〇〇所得とは、××であるという規定ではなくて、▲▲所得以外の所得…となっていることから、厳密には条文で挙げられている所得のどれにも該当しないことを確かめる→そのうえで、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない」という点に該当することを確かめなきゃいけません。そのため、ハードルが高いといいました。
・所得税法基本通達34-1では、一時所得の例示がありますが、通達は法律ではないので、ここで挙がっている例示に近いからといって、安易に一時所得として申告するのはおすすめできません。
・一応34-1は以下のように書いてあります。
(1) 懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)
(2) 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)(注)1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。3 競輪の車券の払戻金等に係る所得についても、競馬の馬券の払戻金に準じて取り扱うことに留意する。
(3) 労働基準法第114条《付加金の支払》の規定により支払を受ける付加金
(4) 令第183条第2項《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金(業務に関して受けるものを除く。)及び令第184条第4項《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等
(5) 法人からの贈与により取得する金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)
(6) 人格のない社団等の解散により受けるいわゆる清算分配金又は脱退により受ける持分の払戻金
(7) 借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料(その立退きに伴う業務の休止等により減少することとなる借家人の収入金額又は業務の休止期間中に使用人に支払う給与等借家人の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補填するための金額及び令第95条《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する部分の金額を除く。)(注)1 収入金額又は必要経費に算入される金額を補填するための金額は、その業務に係る各種所得の金額の計算上総収入金額に算入される。2 令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する立退料については、33-6参照
(8) 民法第557条《手付》の規定により売買契約が解除された場合に当該契約の当事者が取得する手付金又は償還金(業務に関して受けるものを除く。)
(9) 法第42条第1項《国庫補助金等の総収入金額不算入》又は第43条第1項《条件付国庫補助金等の総収入金額不算入》に規定する国庫補助金等のうちこれらの規定の適用を受けないもの及び第44条《移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入》に規定する資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうちその交付の目的とされた支出に充てられなかったもの
(10) 遺失物拾得者又は埋蔵物発見者が受ける報労金
(11) 遺失物の拾得又は埋蔵物の発見により新たに所有権を取得する資産
(12) 地方税法第41条第1項《個人の道府県民税の賦課徴収》、同法第321条第2項《個人の市町村民税の納期前の納付》及び同法第365条第2項《固定資産税に係る納期前の納付》の規定により交付を受ける報奨金(業務用固定資産に係るものを除く。)(注) 発行法人から株式等を取得する権利を与えられた場合(株主等として与えられた場合(23~35共-8参照)を除く。)の経済的利益の所得区分については、23~35共-6参照
※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。
判決文はこちら。https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/332/056332_hanrei.pdf
・所得税法の事業所得と給与所得の定義を示した最高裁判例
・事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい、これに対し、給与所得とは雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。なお、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかか重視されなければならない。
・給与所得→①雇用契約or②雇用契約に似た原因に基づき、使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価?
・給与所得の判断に当たっては、「空間的、時間的な拘束」というのが重視される?
・現在の労務提供形態は多様化しており、使用者と実際に一度も会わないまま労務提供が完結するのも普通になっている
・そんな中でなお書きにある「空間的、時間的な拘束」というのをどうとらえるべきか?
・そもそも、なお書きは雇用契約であれば検討の必要がない話で、「業務委託契約」や口約束による労務提供等に検討する話ではないか?
・今回挙げた以外の判例では、所得を得るための損金の負担状況、使用者からの独立性等を総合的に勘案して判断されている?
・また、事業所得、給与所得いずれにも該当しない労務提供による所得も考えられるが、現行法では雑所得しか区分できる所得はない