金沢国税局の調査トピック

https://www.nta.go.jp/about/organization/kanazawa/release/r05/shotoku_shohi/index.htm

1 富裕層に対する調査状況
2 海外投資等を行っている個人に対する調査状況
3 インターネット取引を行っている個人に対する調査状況
4 無申告者に対する調査状況

この辺りが集中して調査対象になっているようです。思い当たる方はご留意を。

所得税法に規定する青色申告を行う者の帳簿

所得税法148条1項で作成が求められ、所得税法施行規則56条に具体的な規定あり。原則と簡易の2パターンあり。

原則→所得税法施行規則56条1項の本文。所得税法施行規則57条《取引の記録等》から64条《帳簿書類の記載事項等の省略又は変更》に基づき作成。64条等の適用には、税務署長の承認が必要。

簡易→所得税法施行規則56条1項の但し書き。帳簿書類について、所得税法施行規則57条から59条《仕訳帳及び総勘定元帳の記載方法》まで、61条《貸借対照表及び損益計算書》、64条の規定に定めるところに代えて、財務大臣の定める簡易な記録の方法及び記載事項によることができます。したがって、所得税法施行規則57条・58条・59条・61条・64条の規定が簡易になります。

なお、「財務大臣の定める簡易な記録の方法及び記載事項」とは、「所得税法施行規則第五十六条第一項ただし書、第五十八条第一項及び第六十一条第一項の規定に基づき、これらの規定に規定する記録の方法及び記載事項、取引に関する事項並びに科目を定める件(昭和42年大蔵省告示112号)」で、以下です。

https://www.mof.go.jp/about_mof/act/kokuji_tsuutatsu/kokuji/KO-19670831-0112-12.pdf

これは、国税庁の以下のページの記載の根拠ですね。(冊子の11P辺り)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/kichou03.pdf

特定役員退職手当等

退職所得の計算は、今のところ優遇されており(本投稿の時点で見直しが議論されています)、 (収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額 となっています。退職所得控除額は勤続年数20年以下だと、1年当たり40万円控除できますし、また、控除後の金額そのものが退職所得とされるのではなく、その1/2が退職所得となります。しかし、1/2の適用については、例外があり、「特定役員退職手当等」「短期退職手当」といった、勤続年数が5年以下の人が受け取る退職金は、1/2の計算がされず、控除後の金額そのものが退職所得になります。

源泉徴収義務(報酬若しくは料金、契約金又は賞金)

給与で、所得税が源泉徴収されており、所得税を差し引いた額が支給されるのは、有名ですが、給与とは違う、報酬等でも源泉徴収されて支払われることが規定されています(所得税法204条1項)

 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金

 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金

 社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)の規定により支払われる診療報酬

 職業野球の選手、職業けん闘家、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金

 映画、演劇その他政令で定める芸能又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演若しくは演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含む。)又は企画の報酬又は料金その他政令で定める芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金(これらのうち不特定多数の者から受けるものを除く。)

 キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ又は客に接待をして遊興若しくは飲食をさせるものにおいて客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の者(以下この条において「ホステス等」という。)のその業務に関する報酬又は料金

 役務の提供を約することにより一時に取得する契約金で政令で定めるもの

 広告宣伝のための賞金又は馬主が受ける競馬の賞金で政令で定めるもの

というわけで、2号にあるように、我々公認会計士に対する報酬も源泉徴収の対象となります。なお、「政令で定めるもの」という文言が目立ちますが、これは、所得税法施行令の320条を指します。

例えば、2号の場合だと、公認会計士や不動産鑑定士だけでなく、会計士補や不動産鑑定士補といった人たちの業務に関する報酬又は料金も含まれる旨が規定されています。

所得税法と法人税法の減価償却計算

所得税法49条1項

 居住者の…減価償却資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定により…必要経費に算入する金額は、…償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法…に基づき…計算した金額とする。

法人税法31条1項

 内国法人の…減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の所得の金額の計算の通則)の規定により…損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額…のうち、…償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法…に基づき…計算した金額…に達するまでの金額とする。

このように、法人税法の方は、「償却費として損金経理をした金額…のうち」とあるので、減価償却費の計上額は法人税の計算においては、任意で決められる、所得税法では、法人税法のような文言がないため、強制的に決まるということを主張する人もいるようです。