消費税インボイス交付義務が免除されるパターン

・税務業務をやっているとインボイスが話題になることが多いですが、インボイスの交付義務が免除されるパターンについて簡単に解説を。

・改正後の消費税法57条の4第1項但書、消費税法施行令70条の9第2項を参照。

・3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送→3万円以上だとインボイスの交付が必要。判定基準は、1回の取引なので、複数人で新幹線切符をまとめて購入する場合や長期間の定期券を購入する場合は、3万円以上なので、インボイスが交付されると思われる。窓口販売だと判断が面倒そうな印象が。

・出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売

・生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売→前述の卸売市場といい、食べ物系が目立ちます。

・3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等→食品の自動販売機等が想定されます。なお、先ほどの公共交通機関の自動券売機はこの特例に該当しません。ここでいう機械はサービスや物品の提供と代金の授受が当該機械で完結するようなものを指しており、先ほどの自動券売機は代金の精算と切符の発行だけで、交通機関により運搬するというサービスは別途提供されるので、該当しません。

・郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス→ポストに投函されたものだけが該当し、郵便局の窓口で運搬を依頼した場合は、該当しません。

・こうやって見てみると、インボイスの交付義務が免除されるパターンって、かなり特殊なものに限られていて、例外なく対応が求められますね。

四半期開示を短信に一本化 四半期報告書の廃止検討?

・四半期報告書が廃止されるということは、四半期レビューが廃止?

・ということは、監査法人の監査報酬減は避けられないか?

・銀行、保険会社、信金連合会では、第2四半期のレビューというのはなく、今でも中間監査が実施されている。これはそのままか?

・四半期レビューを廃止するけど、上記業種以外の中間監査の復活もないか?

・第三者的な立場の会計士に対して説明できるくらいに、年次の浅い人が納得感のある増減分析をするのは勉強になるけど、この勉強の機会を奪われるのは辛い?

監査法人の社員の競業避止義務

・会社法を勉強している人に取っては、取締役の競業避止義務がおなじみかも(会社法356条1項1号)?

・会社法では、取締役の他、合名会社の業務執行社員にも競業避止義務がある(会社法594条1項1号)

・監査法人の社員は、合名会社の業務執行社員と同じく、出資者であり、かつ、会社の業務執行を担うので、法的には同じような立場であり、公認会計士法で同じような競業避止義務が規定されている(公認会計士法34条の14)

・合名会社の社員の競業避止義務の例外として、他の社員全員が承認すれば、競業避止義務OKという規定があるが、公認会計士法では公認会計士法2条2項の業務に限られる(いわゆるコンサルティング)

・ちなみに、公認会計士法2条1項の業務というのは、監査業務や証明業務をいう

・監査や証明業務は何があろうと法的に許されないので、例えば、ある監査法人の社員をやりながら、自身の個人事務所で監査業務又は証明業務を受嘱する等の行為は許されないと思われる

固定資産の減損(その2)

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・固定資産の減損は、会社が作った利益計画(さらに細分化した計画も含む)をもとに財務数値を計算するもの

・というわけで利益操作の余地が高いので、注意が必要(減損損失の計上を回避したいので、資産グループ別の利益を操作して「兆候」がでないようにする、減損損失の計上には理解を示しているが、過大な損失を計上したい・・・など)

・例年、詳細な資料を入手し検討しているならともかく、ここ数年で業績が急速に悪化し、会社の内部資料の作られ方について精通していない場合は、従来からの計算方法をこっそり変更する等して資産グループ別の利益を操作してくる可能性が高い

・固定資産の減損は、会社の内部資料をもとに作るので、公表されている財務諸表からは粉飾の有無が見つけづらく、監査人が最後の砦になると思われる

固定資産の減損(その1)

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・減損損失の話になると、経営者からは非常にいやがられます。経営の失敗を認めたような財務数値になってしまうから

・固定資産が将来生み出すキャッシュ・フローを見積もる必要がありますが、固定資産の減損を検討する対象と、将来生み出すキャッシュ・フローを見積もる基礎となる事業計画(利益計画)がマッチしないこともあり

・固定資産の減損を検討する対象が、事業計画の策定単位に比べて細かいことが多いため

・では、どのように事業計画を細分化すればよいか?

・事業計画を細分化できるほどの管理能力があればよいが、できない場合はどうするか?

・事業計画の業績を人員別に分ける?資産の簿価で分ける?それとも併用?

円安、円高

円安、円高といわれても混乱するのが、普段耳にするのが「1ドル=120円」という形で、外貨を分子に、円を分母にもってきて為替レートを伝えているため。以下のように、比較対象となる外貨を分母に、円を分子に持ってきて為替レートを把握した方が、円安、円高のイメージがつかみやすいと思います。

https://www.google.com/finance/quote/JPY-USD?hl=ja&window=5Y

このチャートは、円を分子、ドルを分母にしている「円ドル」チャートなので、円安という言葉のとおり、右肩下がりになっています。

公認会計士法上の大会社等

・会社法の大会社とは似て非なる概念なので注意。監査報告書にサインする期間の上限や、他の会計士を補助者に入れる必要がある等の制限が生まれます

・具体的には、公認会計士法24条の2にあるように、以下のとおり。

一 会計監査人設置会社(資本金の額、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額その他の事項を勘案して政令で定める者を除く。)
二 金融商品取引法第百九十三条の二第一項又は第二項の規定により監査証明を受けなければならない者(政令で定める者を除く。)
三 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行
四 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行
五 保険業法第二条第二項に規定する保険会社
六 前各号に掲げる者に準ずる者として政令で定める者

・1号の会計監査人設置会社の場合は、資本金100億円未満かつ負債1000億円未満なら該当しない(公認会計士法施行令8条)。

・2号はいわゆる上場会社など。資本金5億円未満(又は直近3年間の平均売上高が10億円未満)かつ負債が200億円未満。会社法の大会社に該当しない会社と類似(公認会計士法施行令9条1号)。上場会社かつ会計監査人設置会社の場合は、2号が適用。

・ちなみに公認会計士法24条の2第6号にいう政令で定める者とは、公認会計士法施行令第10条にあるように、以下のとおり。

一 全国を地区とする信用金庫連合会
二 全国を地区とする労働金庫連合会
三 全国を地区とする信用協同組合連合会
四 農林中央金庫
五 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第三十九条第一項の規定により会計監査人の監査を受けなければならない独立行政法人
六 国立大学法人及び大学共同利用機関法人
七 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第三十五条第一項の規定により会計監査人の監査を受けなければならない地方独立行政法人

というわけで、信用金庫、労働金庫、信用協同組合等は、出資金が100億円以上、又は負債が1000億円以上だったとしても、公認会計士法にいう大会社等には該当しません。