インボイスがらみでよく出てくる「フリーランス」という立場の方々。法令上の定義はないですが、経産省のガイドラインによると、「フリーランス」とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指すとされています。取引先との関係次第では、報酬面や労働面で不利な扱いを受ける場合もあります。
月: 2023年10月
適格請求書発行事業者とは?
インボイス制度が始まりましたが、そもそも適格請求書発行事業者というのはどういう者でしょうか。インボイスを発行できる事業者というだけで、インボイスを誤りなく発行できるとか、そういう事業者を指すのではありません。「適格」とあるので、インボイスを誤りなく発行できる審査を経た上で登録された事業者を指すのかというと、そうではありません。あくまで、消費税がらみで過去に滞納をやったことがないとか、それくらいの意味です。
というわけで、適格請求書発行事業者だからといって、記載事項に不足がないインボイスを発行しているかというと、必ずしもそうではないため、留意が必要です。
外部監査を締結できる行政事務精通者とは?
国の行政機関において会計検査に関する行政事務に従事した者又は地方公共団体において監査若しくは財務に関する行政事務に従事した者であって、監査に関する実務に精通しているものとして政令で定めるもの(地方自治法252条の28第1項2号)です。
じゃあ、政令で定めてある事項は何かというと、特定の職の在職期間です。以下の職の在職期間が10年か、会計検査、監査若しくは財務に関する行政事務に関する総務大臣の指定した研修を修了して、以下の職を通算した在職期間が5年以上の場合は、行政事務精通者に該当します(地方自治法施行令174条の49の21、地方自治法施行規則17条の3から17条の6まで)。
・会計検査院において会計検査に関する行政事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、会計検査に関する行政事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする職
・監査委員(都道府県、政令市、中核市のみ)
・監査に関する行政事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、監査に関する行政事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする係長以上の職又はその職務の複雑、困難及び責任の度がこれに相当する専門職(いわゆる監査委員事務局、都道府県、政令市、中核市のみ)
・会計管理者(地方自治法改正前の収入役、出納役含む。都道府県、政令市、中核市のみ)
・会計事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、会計事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする係長以上の職又はその職務の複雑、困難及び責任の度がこれに相当する専門職(会計管理者の権限に属する事務を処理させるための組織である会計事務局や出納事務局等、都道府県、政令市、中核市のみ)
・予算の調製に関する事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、予算の調製に関する事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする係長以上の職又はその職務の複雑、困難及び責任の度がこれに相当する専門職(地方自治法158条の規定により設けられた予算に関する事務を分掌させるための組織である財政課等、都道府県、政令市、中核市のみ)
というわけで、国家公務員だったから、地方公務員だったからといって必ずしも「行政事務精通者」に該当するわけではありません。なお、会計検査、監査若しくは財務に関する行政事務に関する総務大臣の指定した研修とは、総務省自治大学校で開催されている以下の研修を指すと思われます。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000617534.pdf
また、行政実務精通者の場合、所属する地方公共団体の外部監査人に就任できない等の制約があります(地方自治法252条の28第3項8号から11号)。
外部監査契約を締結できる者
外部監査契約とは、都道府県、政令市、中核市で義務になっている包括外部監査と、住民請求等に基づき実施する個別外部監査に係る契約をいいます。外部監査契約を締結できる者の規定は、地方自治法252条の28に規定されており、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者であり、かつ、次のいずれかに該当する者とされています(地方自治法252条の28第1項)。
弁護士(弁護士となる資格を有する者を含みます。)
公認会計士(公認会計士となる資格を有する者も含みます。)
行政事務精通者(会計検査や監査などの一定の公務員経験者。詳細は別途投稿します。)
おや、税理士は?と思う方もいるかも知れませんが、税理士(税理士となる資格を有する者も含みます。)については、外部監査契約を円滑に締結し、又はその適正な履行を確保するため必要と認めるときに締結できるという規定になっています(地方自治法252条28第2項)。この規定は、地方自治法逐条解説によると、地域によっては、弁護士等の確保が難しいことを勘案して、国会における修正により設けられた条項とのことです。岸和田市の外部監査に関する条例の逐条解説にも同旨の解説があります。
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/jichikihon-jourei/kansa-chikujou.html
なお、禁錮以上の刑を受けたなど、欠格事由に該当する場合は、外部監査契約の締結はできません(地方自治法252条の28第3項)。
調定額と収入済額
地方公共団体の歳入側の決算書を見ていると、「調定額」と「収入済額」が併記されています。「調定額」というのは、予定される収入額をいい、「収入済額」とは、その予定される収入額のうち、実際に収納されたものをいいます。「収入未済額」が、収入を予定していたが実際に収納されなかった者、「不能欠損額」とは、「調定額」のうち、督促等を行ったにもかかわらず納付されずに時効が到来してしまったものなどについて、損失として処分を行った金額をいいます。
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月刊税理2023年10月臨時増刊号
https://shop.gyosei.jp/products/detail/11738
今話題のインボイスに関するQAを87題作りました。2023年8月に改正内容が発表された消費税法基本通達等を参考にして、依頼から初稿作成まで約1か月での作成です。よろしかったらご笑覧くださいませ。