貸し付け増やした末… 県の9億円、議員トップの団体から回収困難に

https://www.asahi.com/articles/ASRBJ6VQ0RBJPIHB004.html

またもや自治体の不祥事です。知事の専決で実行していたのか、議会での議決を経た上で実行していたのか、気になるところです。

令和3年度の包括外部監査報告書の218P辺りで貸付先の団体について言及されていますが、実績報告があったけど、検証するルールが整備されていなかったようですね。

国の基準無視、固定資産税算出ミス 還付総額8億円に 岩手・北上市

https://www.asahi.com/articles/ASRBJ7DW6RBJULUC00S.html?iref=pc_ss_date_article

こちらは裁判でなく、市が自ら誤りを認めたんですね。市議のご指摘のとおり、再発防止策の策定が急がれますが、誤りの対象が1994-2011とはどういうことなんでしょうね。2012以降は是正されたのでしょうか?

また、地方自治法で規定される内部統制の整備が義務化されているのは、都道府県と政令指定都市ですが、こちらは政令指定都市ではありません。都道府県や政令指定都市以外でも任意適用は可能なのですが、手間がかかります。全部適用は無理にしても、一部適用とかできる法体系ならいいんですけどね。

なお、合併したのは1991のようです。

外部監査を締結できる行政事務精通者とは?

 国の行政機関において会計検査に関する行政事務に従事した者又は地方公共団体において監査若しくは財務に関する行政事務に従事した者であって、監査に関する実務に精通しているものとして政令で定めるもの(地方自治法252条の28第1項2号)です。

 じゃあ、政令で定めてある事項は何かというと、特定の職の在職期間です。以下の職の在職期間が10年か、会計検査、監査若しくは財務に関する行政事務に関する総務大臣の指定した研修を修了して、以下の職を通算した在職期間が5年以上の場合は、行政事務精通者に該当します(地方自治法施行令174条の49の21、地方自治法施行規則17条の3から17条の6まで)。

・会計検査院において会計検査に関する行政事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、会計検査に関する行政事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする職

・監査委員(都道府県、政令市、中核市のみ)

・監査に関する行政事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、監査に関する行政事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする係長以上の職又はその職務の複雑、困難及び責任の度がこれに相当する専門職(いわゆる監査委員事務局、都道府県、政令市、中核市のみ)

・会計管理者(地方自治法改正前の収入役、出納役含む。都道府県、政令市、中核市のみ)

・会計事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、会計事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする係長以上の職又はその職務の複雑、困難及び責任の度がこれに相当する専門職(会計管理者の権限に属する事務を処理させるための組織である会計事務局や出納事務局等、都道府県、政令市、中核市のみ)

・予算の調製に関する事務を管理し若しくは監督することを職務とする職、予算の調製に関する事務に関する高度の知識若しくは経験を必要とする事務を処理することを職務とする係長以上の職又はその職務の複雑、困難及び責任の度がこれに相当する専門職(地方自治法158条の規定により設けられた予算に関する事務を分掌させるための組織である財政課等、都道府県、政令市、中核市のみ)

 というわけで、国家公務員だったから、地方公務員だったからといって必ずしも「行政事務精通者」に該当するわけではありません。なお、会計検査、監査若しくは財務に関する行政事務に関する総務大臣の指定した研修とは、総務省自治大学校で開催されている以下の研修を指すと思われます。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000617534.pdf

 また、行政実務精通者の場合、所属する地方公共団体の外部監査人に就任できない等の制約があります(地方自治法252条の28第3項8号から11号)。

外部監査契約を締結できる者

 外部監査契約とは、都道府県、政令市、中核市で義務になっている包括外部監査と、住民請求等に基づき実施する個別外部監査に係る契約をいいます。外部監査契約を締結できる者の規定は、地方自治法252条の28に規定されており、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者であり、かつ、次のいずれかに該当する者とされています(地方自治法252条の28第1項)。

弁護士(弁護士となる資格を有する者を含みます。)

公認会計士(公認会計士となる資格を有する者も含みます。)

行政事務精通者(会計検査や監査などの一定の公務員経験者。詳細は別途投稿します。)

 おや、税理士は?と思う方もいるかも知れませんが、税理士(税理士となる資格を有する者も含みます。)については、外部監査契約を円滑に締結し、又はその適正な履行を確保するため必要と認めるときに締結できるという規定になっています(地方自治法252条28第2項)。この規定は、地方自治法逐条解説によると、地域によっては、弁護士等の確保が難しいことを勘案して、国会における修正により設けられた条項とのことです。岸和田市の外部監査に関する条例の逐条解説にも同旨の解説があります。

https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/jichikihon-jourei/kansa-chikujou.html

 なお、禁錮以上の刑を受けたなど、欠格事由に該当する場合は、外部監査契約の締結はできません(地方自治法252条の28第3項)。

調定額と収入済額

地方公共団体の歳入側の決算書を見ていると、「調定額」と「収入済額」が併記されています。「調定額」というのは、予定される収入額をいい、「収入済額」とは、その予定される収入額のうち、実際に収納されたものをいいます。「収入未済額」が、収入を予定していたが実際に収納されなかった者、「不能欠損額」とは、「調定額」のうち、督促等を行ったにもかかわらず納付されずに時効が到来してしまったものなどについて、損失として処分を行った金額をいいます。

委託先の県外業者と連絡取れず

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230905-OYT1T50184/?fbclid=IwAR3u9JlqZIdifPSrO7D3nm7LF2SGiVuPsXgfRGdvslOtv9rjPoU_XjtmegY

競争入札で落札したから、県外の業者になったのでしょうが、こんなことがあるんですね。業者登録の際に財務情報の提出をしているでしょうが、数字だけではこのような予兆をつかむのは難しいでしょうね。