監査人交代

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB095AW0Z00C22A8000000/

上場企業で最近多いようなので。いわゆる大手と呼ばれる監査法人は、日経平均株価の算定基礎になるレベルの企業の監査は受ける、そうでない場合で、監査法人側からの値上げ要求に応じない場合は監査法人の方から断る場合もあるとのことです。

大手監査法人に断られた会社は、中小監査法人への契約を打診するという流れがとまりそうもないですね。要求される作業は増加の一途で、会社側にも相応の負担が生じるため、監査法人からの要求に耐えられるところでないと上場できない流れになりそうです。

とはいえ、要求される作業が増加したからといって、必ずしも企業の不正が事前に発見できるようにならないのが悩ましいところです。

専門業務実務指針4461「仮想通貨交換業者における利用者財産の分別管理に係る合意された手続業務に関する実務指針」

仮想通貨(暗号資産)交換業者の顧客資産の分別管理ですが、公認会計士による「合意された手続」の実施があるんですね。「合意された手続」というのは、交換業者と公認会計士との合意です。証券会社の分別管理だと「法令遵守に関する保証業務」になり、保証水準が違いますね。

「合意された手続」だと、一部の手続のみですが、「法令遵守に関する保証業務」だとそうはいかず、金銭・顧客資産の管理等多岐にわたる分野に関する保証となり、一見似ていますが、かなり違います。

今回のFTX事件を受けて、暗号資産交換業者に対しても「法令遵守に関する保証業務」を求められる方向にいくんでしょうか・・・?

不正疑いの北谷町認可保育園 二度目の確認監査

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/186440?display=1

人手不足なのでしょうか?保育園など学校法人の会計監査で人件費を検証する際は、必ず当該人員が実在していることを確かめますね。ここの場合は、タイムカードの偽装など、手の込んだことをやっていたのかもしれませんが・・・

四半期開示の論点

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65279410Z11C22A0EE9000/

上記記事より。

➀決算短信を作成するかどうか→四半期報告書がないということであれば、決算情報を知る手段がなくなるため、必要。

②決算短信の罰則→必要。粉飾ありの情報が開示されたら有益どころか有害

③決算短信に対する監査法人のレビュー→従来の四半期報告書に対するレビュー報告書のようなもの。罰則と合わせて有益な情報開示の観点からは必要だが、決算短信に対するレビュー報告書というのは違和感あり。後述のように、第2四半期について中間監査復活でいい。

④決算短信の開示内容の充実→現状で十分。

⑤第2四半期の開示書類や監査法人の保証のあり方→第2四半期のみ半期報告書を作成して、これに対して中間監査報告書をつけるか、レビュー報告書をつけるかということですかね。中間監査推奨ですね。今の四半期レビューだと、監査法人の閑散期が出てこないので、疲弊度合いが増すばかり・・・。なお、第2四半期に半期報告書があるのであれば、決算短信は第1四半期・第3四半期に比べて超簡素化してもいいと思います。財務諸表の段階損益とか流動資産・流動負債といった残高項目の合計額だけ開示するような(会社法の決算公告のイメージ)。

結論

第1四半期・第3四半期→現在の決算短信で求められるレベルの情報を開示。監査・レビューはないが、虚偽表示には罰則あり。

第2四半期→決算短信は会社公告レベルの情報を開示。半期報告書で第1四半期・第3四半期レベルの情報を開示し、監査対象とする。虚偽表示の罰則はもちろんあり。ついでにですが、決算期の決算短信も会社公告レベルの情報開示で十分だと思います。有価証券報告書を見れば必要な情報が掲載されているので・・・

IT委員会実務指針等の廃止について

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20221017uzy.html

実務での影響は少ないかと思いますが、公認会計士試験の修了考査の受験生は大変ですね。廃止された規定のうち、IT委員会実務指針第6号「ITを利用した情報システムに関する重要な虚偽表示リスクの識別と評価及び評価したリスクに対応する監査人の手続について」は財務諸表監査におけるIT監査の体系を示したもの、IT委員会研究報告第53号「IT委員会実務指針第6号「ITを利用した情報システムに関する重要な虚偽表示リスクの識別と評価及び評価したリスクに対応する監査人の手続について」に関するQ&A」は実務指針6号をQ&A方式にしたものでした。

この6号と53号が廃止され、IT委員会の研究報告としては、

IT委員会研究報告第 57 号「ITの利用の理解並びにITの利用から生じるリスクの識別及び対応に関する監査人の手続に係るQ&A」だけになりました。

体系的理解の方は、監査基準委員会報告書 315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」でやることになったようです。

修了考査は12月にありますが、このタイミングで廃止とは受験生は勉強がやりづらいですね。

不正会計防止へ制度見直し 内部統制、訂正に監査義務も

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0917N0Z01C22A0000000/

これは証券取引所に上場している企業に限定される話題です。見出しだけでは意味がわからず、訂正有価証券報告書を提出し、改めて監査を実施した事例を見てみました。通常の監査報告書だと「独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書」という見出しなのですが、訂正有価証券報告書に対する監査報告書は「独立監査人の監査報告書」となっており、「内部統制監査報告書」の提出義務はないのですね。

内部統制監査報告書の監査対象は、内部統制報告書なのですが、この報告書、会社ごとの個性はほとんど見られず、定型に近い文言が5ページ程度記載があるのみなんですよね。

これを訂正時の監査対象としたからといって、企業側が不正を避けるのかというと・・・うーんという印象です。

公認会計士試験の所感

会計学(午後)の問題で、国際会計基準の問題が出たようですね。受験予備校でもある程度はやっており、日本の会計基準も国際会計基準に近い内容にはなりつつありますが、それでも厳しいと感じた受験生が多そう。実務でも、国際会計基準を適用している上場企業は多くなく、それほど馴染みがないといえばないですね。

監査論の第2問は、公認会計士試験に合格して実務経験を積んだ人が受ける修了考査の問題かと思いました。実務経験がない受験生にとっては相当難しいような。監査基準を覚えているだけでは対応できず、そもそも監査に対する潜在能力が試される感じですね。