地方税の分割基準

複数の地方公共団体に営業拠点がある場合、分割基準によって地方公共団体の税額が決まりますが、
その分割基準の一つに「従業者」という概念があります。
「従業者」というのは、俸給、給料、賃金、手当、賞与その他これらの性質を有する給与の支払を受けるべき者をいいます。
いわゆる従業員・パート・アルバイト等ですね。なお、個人事業主は、自身に対して給与を支払うということはないですが、
事業に従事している個人事業主自身や親族・同居人も「従業者」に含まれます(地方税法施行規則⑥条の2の2第1項)。

課税台帳記載事項証明書

またもや地方税がらみ。固定資産税の証明書です。課税台帳記載事項証明書とはいいながら、土地課税台帳の記載事項のすべてを証明するわけではないというのが悩ましいですね。すべての市町村の証明書を見たわけではないのですが、例えば、「質権及び百年より長い存続期間の定めのある地上権の登記名義人の住所及び氏名又は名称」というのは、固定資産税の納税義務者を決めるための重要な情報なのですが、証明書に記載されていないということが大半だという印象です。

「永代地上権」多い富山・滑川市、土地所有者への固定資産税が裁判で認められず徴収難航

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230903-OYT1T50161/2/

固定資産税が課税されるのは、原則として土地の所有者ですが、質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とするとされています(地方税法343条1項)。

今回は、永代地上権が100年より永い存続期間の定めのある地上権と最高裁で認定されたので、今まで土地の所有者に課税されていたのが、以後は地上権者に課税されることになったということです。

滑川市は、固定資産税の還付や地上権者の特定で事務作業が大変なことになっているようです。今後、他の地方でも類似の事例が出てくるのかもしれません。

なお、土地に質権設定?と思うかもしれませんが、不動産質というのも可能です(民法356条など参照)。ただし、質権だと質権を設定した人しか不動産が使えなくなるので、住宅ローンの担保は、質権ではなく抵当権になっていますね。

県の入札参加資格停止措置を違法と認定

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01675/

有料記事なので、会員にならないと全文を読めません。

行政不服審査法に基づく不服申し立てとありますが、これは県のやった処分に対する不服を県が設けた行政不服審査会に申し立てることになりますね。国なら国の行政不服審査会、市町村なら市町村の行政不服審査会に申し立てるということになります。

地方税に関する不服審査として、固定資産税の関連は、行政不服審査会ではなく、固定資産評価審査委員会という機関が別途あるので、そちらが窓口になります。

償却資産税の裁判例

ざっと調べた限りでは見つからないですね。固定資産税はかなりあるのですが、償却資産税となると所得税や法人税の規定とほぼ一緒だから争点がないのでしょうか。

なお、償却資産の固定資産評価基準もありますが、土地や家屋に比べて少ないページ数です。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000755428.pdf

土地や家屋も含めた一覧はこちらです。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html