ストックオプションの会計と税務

昨今話題の話を簡潔に整理しました。

①会社から従業員等への付与時点

会計:株式報酬費用として費用、新株予約権として負債の計上が必要

税務(法人税):上記株価は損金にはならない(したがって、法人税の計算上、株式報酬費用は損金にされない)

②従業員等がストックオプションを権利行使し、株式の売却益を得た時点

会計:従業員等から払い込まれた現金預金とともに新株予約権を資本金へ振替

税務:ストックオプションが税制上適格か非適格かで変わる。なお、税制上の適格性は法人税法ではなく租税特別措置法に規定される

税制上適格→従業員等が得た株式の売却益は、従業員等にとって譲渡所得とされる。そのため、法人では何も処理しない(したがって、付与時点の株式報酬費用は損金にならないままとなる)

税制上非適格→従業員等が得た株式の売却益は、従業員等にとって給与所得とされる。そのため、法人にとっては人件費を支払ったのと同様となるため、付与時点の株式報酬費用は、権利行使時点で損金となる

信託型ストックオプションによる株式譲渡益は給与所得?

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC206RJ0Q3A420C2000000/

日経新聞の有料記事です。日本の税制だと、「税制適格」とされるストックオプションを行使したことによる株式譲渡益でないと、株式譲渡益であっても給与所得扱いにされてしまいます。給与所得だと所得税と住民税を合わせて最大55%ほどが税金となってしまいます。

なお、「税制適格」の概要は経産省のページなどにあります。

https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/stock-option.html

対象者を増やしたり、権利行使期間を延長する等、一定の歩み寄りはあります。しかし、権利行使限度額が「年間1200万円を超えないこと」ということなど、株式上場を果たしてストックオプションの行使により、巨額の富を得たいような方々には不満があるのかもしれません。