ヘッジ会計

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6513298

きじでは詳細がわからないですが、同社の有価証券報告書を見る限り、デリバティブ取引というのは、商品スワップ取引ではないでしょうか。

商品スワップ取引は、原材料費の高騰による費用増加をヘッジする手段のようです。この場合、会計上も税務上も、ヘッジ対象である原材料費の高騰幅と、ヘッジ手段である商品スワップ取引の評価益の増加幅が同じような変動状況であれば、商品スワップ取引の評価益を損益として認識しなくてOKというヘッジ会計です。

「同じような変動状況」というのは、具体的な数値は会計上も税務上も、「おおむね」80%から125%の範囲内に収まっていればOKというものです。例えば、原材料費の高騰幅と商品スワップ取引の評価益の増加幅が、ともに150であれば、商品スワップ取引の増加幅150÷原材料費の高騰幅150×100%=100%となります。

原材料費の高騰幅150に対し商品スワップ取引の評価益の増加幅120の場合は、120÷150×100%=80%、原材料費の高騰幅120に対し商品スワップ取引の評価益の増加幅150の場合は、150÷120×100%=125%と、ヘッジ手段とヘッジ対象の変動幅について2割ほどのずれまでなら、商品スワップ取引の評価益を損益として認識しなくてOKとされていることになります。

今回のニュースに戻りますが、見解の相違の原因は、「同じような変動状況(ヘッジの有効性判定)」の解釈の相違っぽいと推定するのですが、どうなんでしょうか。「申告漏れ」とされた期について、80%-125%の範囲をわずかに超えていて、会計上は「おおむね」に該当するとして容認したけど、税務上は「おおむね」である点を否定されてしまったみたいなイメージでしょうか。国税不服審判所案件となったということですので、今後は詳細が明らかになるでしょう。

原価付け替え

大規模な工事を請け負う建設会社では、実行予算を策定したうえで、実際の工事原価が予算を超過していないかどうか厳しくチェックされます。予算超過が発生してしまうと、工事担当者の人事考課にも影響することもあるようです。

そのため、工事担当者としては、自身の担当する工事に、予算超過が起こりそうな状況になると、自身の担当する他の工事に、予算超過が起こりそうな工事の原価を計上するという不正を働きます。これが原価付け替えというやつです。

原価付け替えを防止しようとすると、月次単位で工事ごとの原価発生状況が一覧できるレポートを出力し、一定水準以上の原価が発生している工事について、工事担当者とその上席者に対するアラートを出すといった内部統制が一例として考えられます。