解答速報をちらっと見ただけなのですが、裁判で話題の居住用賃貸建物の仕入税額控除が出題されていたんですかね。
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輸入品のインボイス?
昨今、話題のインボイスですが、輸入品はどういう取り扱いになるんでしょうか。現行法だと、国内取引でいう請求書等は、「保税地域から引き取る課税貨物」は、関税法67条や消費税法施行令49条5項に規定する輸入許可書に相当します。輸入許可書の記載事項は以下のとおりです(消費税法30条9項3号)。
イ 納税地を所轄する税関長
ロ 課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなつた年月日(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取ることができることとなつた年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日)
ハ 課税貨物の内容
ニ 課税貨物に係る消費税の課税標準である金額並びに引取りに係る消費税額及び地方消費税額
ホ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
この記載事項ですが、インボイスの導入後はどうなるのでしょうか。2023年10月1日から施行の条文を見てみます。こちらだと、適格簡易請求書等の追加があるため、消費税法30条9項5号に変わっています。
イ 納税地を所轄する税関長
ロ 課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなつた年月日(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取ることができることとなつた年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日)
ハ 課税貨物の内容
ニ 課税貨物に係る消費税の課税標準である金額並びに引取りに係る消費税額及び地方消費税額
ホ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
というわけで、条文の記載は変わっていないですね。条文を示さずに、輸入先である外国の業者が日本のインボイスを発行しないと、消費税の計算からマイナスできないというような説明をするサイトを見かけたのですが、本当なのでしょうか・・・
障害者相談支援事業の消費税法上の取扱い(根拠と思われる通達)
国税庁の根拠と思われる消費税法基本通達です。
(社会福祉事業の委託に係る取扱い)
6-7-9 社会福祉法人等が地方公共団体等から当該地方公共団体等が設置した社会福祉施設の経営を委託された場合に、当該社会福祉法人等が行う当該社会福祉施設の経営は、法別表第一第七号ロ《社会福祉事業等に係る資産の譲渡等》に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等に該当し、非課税となる。(平12課消2-10により追加)
(注) 事業者が社会福祉施設に係る業務の一部を当該社会福祉施設を設置した地方公共団体等又は設置者である地方公共団体等から当該社会福祉施設の経営を委託された社会福祉法人等の委託により行う場合(当該業務の一部を行うことが社会福祉事業に該当する場合を除く。)、当該事業者が行う業務は、同号に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等には該当しないことに留意する。
社会福祉法の条文では、社会福祉事業の一つとして、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律・・・(中略)・・・に規定する地域活動支援センター・・・を経営する事業」があります。障害者相談支援事業を行う地域活動支援センターの経営(施設の管理運営)の委託ということなら非課税ですが、施設の管理運営は行わずに、障害者相談支援事業だけを行う形の委託なら、課税取引になってしまうということのようです。
障害者相談支援事業の消費税法上の取扱い(概要)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律77条に規定する「地域生活支援事業」(記事では「障害者相談支援事業」と表記)が、消費税法上の非課税取引とならない事例。消費税法の別表第一の七ロや社会福祉法第2条の社会福祉事業の定義を改めて確認したところ、見当たらないですね。しいていえば、「地域活動支援センターを経営する事業」が近いようですが・・・
事業者の立場からすると、本来は消費税がもらえた取引なのにもらえていなかったということになるでしょうか。
インボイス登録番号検索
法人は基本的に「T+法人番号」でわかるのですが、個人は規則性がないから仕入税額控除をしたい側(買い手側、資産を買ったりサービスを受ける側)としては調査が大変ですね。わざわざ調査しなくても大丈夫なようなサービスも出てきているようですが、このようなサービスを使えない層は手作業で調べることになるんでしょうか・・・
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/
これが個人の氏名や屋号での検索に対応すれば多少は楽になるのですが。
新設法人の「資本金又は出資の額」
消費税の納付は、必ずしも法人設立1期目から必要なものではなく、事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が千万円以上の法人等に限定されています(消費税法12条の2第1項)。では、「資本金の額又は出資の金額」というのは、どのような法人を指すのでしょうか。資本金といえば、株式会社がまず思い浮かびます。それでは、出資の金額とは?
この辺りは消費税法基本通達で示されています。
(出資の金額の範囲)
1-5-16 法第12条の2第1項《新設法人の納税義務の免除の特例》に規定する「出資の金額」には、営利法人である合名会社、合資会社又は合同会社に係る出資の金額に限らず、農業協同組合及び漁業協同組合等の協同組合に係る出資の金額、特別の法律により設立された法人で出資を受け入れることとしている当該法人に係る出資の金額、地方公営企業法第18条《出資》に規定する地方公共団体が経営する企業に係る出資の金額及びその他の法人で出資を受け入れることとしている場合の当該法人に係る出資の金額が該当するのであるから留意する。
というわけで、協同組合のような非営利法人、その他「出資」を受けいれる法人、地方公共団体における特別会計なども対象になっています。
インボイス保存義務に関する少額特例
税込金額1万円未満のインボイスの保存義務が不要とされている経過措置です。この経過措置は、基準期間(2年前又は2事業年度前の売上高)における課税売上高が1億円以下、特定期間(1年前の上半期又は1事業年度前の上期の売上高)における課税売上高が5000万円以下の場合に適用が可能です。
新規開業した個人や新規設立した法人は、基準期間がないため、1期目は消費税の納付義務はありません。しかし、資本金が1000万円以上である等の一部の法人は、1期目から消費税の納付義務があります。
消費税の納付義務がないなら、少額特例が適用できるかどうかは気にする必要がないですが、基準期間も特定期間もない1期目から消費税の納付義務がある法人は、少額特例が適用できるのかどうか、よくわかりません。少額特例の根拠条文を読む限り、2期目からは、特定期間の課税売上高に基づき、経過措置を適用することも可能ですが、1期目は、基準期間はもちろんのこと、特定期間が存在しないので、少額特例が適用できず、インボイスの保存義務があるように見えるのですが・・・