所得税法における「業務」の範囲について|論叢|税務大学校|国税庁 (nta.go.jp)
調べ物をしていたら、出てきました。タイムリーな論文で、非常に参考になりますね。発表が令和3年6月なので、最近の「業務」に関しての言及が多々あります。なお、「論叢」というのは「ろんそう」と読みます。論文集のことですね。「論争」ではありません。
全国対応の公認会計士越田圭事務所(北陸地方の石川県金沢市所在)
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所得税法における「業務」の範囲について|論叢|税務大学校|国税庁 (nta.go.jp)
調べ物をしていたら、出てきました。タイムリーな論文で、非常に参考になりますね。発表が令和3年6月なので、最近の「業務」に関しての言及が多々あります。なお、「論叢」というのは「ろんそう」と読みます。論文集のことですね。「論争」ではありません。
話題になった300万円通達ですが、通達本文以外にも解説がついているので、こちらも見ておきたいところです。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf
こちらの解説を見ると、帳簿さえつけていれば事業所得と無条件に認められるのではなく、収入に対する経費の割合が高い、マイナスの所得が継続している場合等は、雑所得と認定される可能性を示唆しています。
というわけで、帳簿を付けていたとしても、事業の必要経費とは思われない経費を多額に計上しているだけであれば、雑所得にされる可能性も十分あることでしょう。
なお、開業数年間は儲けが出ない商売というのもありますので、その場合はその旨を説明できるよう準備しておくのが無難と思います。事業概要の説明ですね。
300万円以下の所得だったら反証がない限り、事業所得ではなく雑所得とする通達案が出ていましたが・・・
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000242043
300万円の金額基準が消えましたね。その代わりに帳簿書類の保存の有無という文言が加わりました。パブリックコメントという形で公に募集していたのですが、パブリックコメントに基づき内容を見直すのって珍しいですね。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410040064
先日も投稿したこちらの件。仮に事業所得ではなく、雑所得にされてしまった場合の影響を考えてみました。大半が税額が増える方向への影響です。
・事業所得がマイナスになった場合、給与所得と当該損失を相殺できなくなる(いわゆる損益通算ができなくなる)
・青色申告で申告する場合、55万円又は65万円の特別控除が受けられなくなる(雑所得では青色申告できません)
・青色事業専従者給与の計上ができなくなり、必要経費が減る(ただし、これは上記の特別控除と異なり、計算上だけで税額が減るのではなく、給与の支給により現金が出ていく話です。というわけで、税額が増える方向への影響はありますが、資金繰りへの影響はないといえます。)
・貸倒引当金の計上ができなくなり、必要経費が減る(いわゆる掛け商売、信用商売のような事業でない場合は、元から計上していないので影響ありません)
・純損失の繰越し又は繰り戻し(事業所得で損失が出た場合、翌年度以降得られるであろう所得と相殺し、翌年度以降所得があった場合の税額が減ることになります。また、前年から青色申告しており、前年所得計上、当年損失(所得がマイナス)の場合、前年に支払った所得税額の還付が受けられます。)
・銀行等から融資を受ける場合の年収額に含めてもらえなくなる可能性あり(雑所得だと年収に含めてもらえず、事業所得扱いされる場合に比べ、年収額が減ってしまうことから希望額の融資が受けにくく懸念あり)
色々と挙げてみましたが、最後の融資の受ける場合の年収額に含めてもらえなくなる可能性があるというのは切実かと思います。前回の投稿と繰り返しになりますが、300万円を超えなかったら一律に雑所得とされてしまうような実務にはならないと考えられるため、「事業」だという反証ができるよう準備しておく必要があります。
不動産オーナーの中には、いわゆる民泊で収入を得ている人もいます。民泊は、業種でいえば簡易宿泊業に分類されますが、不動産を貸し付けているという側面も否定できません。
それでは、副業として民泊により収入を得た場合の所得区分は、どう考えればいいでしょうか。日本の所得税法では、不動産を貸し付けたことにより得た収入は、不動産所得とされます。しかし、不動産を貸し付けるというと、借りる側からすると、住所を得たい、生活の拠点を得たいといった意思があると考えられます。
この点、民泊は、不動産の利用者側からすると、旅行中の拠点を確保しておくという側面があり、不動産を借りて生活の拠点を得るという側面はないものと思います。
ということは、民泊から得られた収入は、不動産所得ではなく、また、副業にすぎないということであれば、現行法上は、雑所得と区分するのが適切ではないかと考えられます。
・本人の口座から直接というわけではないが、オンラインカジノの代金決済で使用したと思われる会社から自治体へ返還があった模様?
・とすれば、本人としては所得を得た形ではなく、4630万円の未払金を決済代行会社に対して背負ったということ?
・報道で聞く本人の収入を見る限りは返済がかなりきつい債務ですが・・・
・最初に最高裁で判示されたのは、最高裁平成17年1月25日第三小法廷判決。
・これは、一時所得か給与所得かで争われ、給与所得になったもの
・ストック・オプションは、会社役員等に、株式を一定の行使価格で購入できる権利を付与するものであるが、当該取締役やストック・オプションを駆使して自社株を市場価格より割安に購入し、これを時価で売却して利益を得たというもの。
・この際の売却益が給与所得と認定された。以前は、ストック・オプションを使って得た利益は一時所得になるという国の取扱いがあったが、後出しじゃんけんのように、ひっくり返されてしまった事例
・株式の売却益は偶然性がありそうに見えるが、これだけでは一時所得の要件をみたさないと認定されてしまった
・このように、国の取扱い変更が遡及的に否定される事例もあり、以前に書いたような通達の取扱いが急に変わる可能性もあるので、留意したいところ。
・当該売却益を得られた原因としては、適切なタイミングで売却したことよりも、そもそも割安に購入できる権利を、役員としての役務の対価としてもらえたことに着目したので、給与所得と認定した?