配当予定額に関する会計監査

昨今、上場会社の違法配当が話題になりましたが、このことについて、会計監査人の任務懈怠(怠慢)があると主張する人がいるようです。会社法が施行されるまでの会計監査は、商法特例法に基づく監査を実施しており、そこでは、利益処分案を監査対象として適法かどうかを検証する必要がありました。しかし、現在では、利益処分案は監査対象ではなくなり、それに近いものとして、「配当予定額」の注記が監査対象となりました。

それでは、この配当予定額が、限度額を超えていたことが事後的に発覚したら、会計監査人の意見に影響があるのでしょうか。現行の会社法に基づく会計監査人の意見は、適法性について言及する箇所はなく、「適正性」があるかどうかで意見の内容が変わります。適正性というのは、会社の利害関係者が、出資や融資を行う際の判断に際して、決算書が適正な情報を与えているかどうかということが一つの側面としてあります。

ということは、配当予定額について、正確性のみの検証でよいか、それとも、違法配当の可能性までの検証を行うかどうかは、その時々の財務状況等により変わるものであり、配当予定額について違法配当の可能性までの検証を行わずに、結果的に違法配当が発生してしまったからといって、直ちに会計監査人に任務懈怠があるというのは、難しいのではないかと考えます。

分配可能額

某社で分配可能額に誤りがあったため、いわゆる蛸配当になったというIRが出てましたね。

期末の配当ならともかく、中間配当や自己株式取得時点の分配可能額まで会計監査でチェックするかというと、やらない場合もあるかと思います。

剰余金の処分に際して、適法意見を出す会計監査なら、必須ですけど、現行の会社法監査は適正意見をだすので、責任者の判断で検証するかどうかはまちまちではないでしょうか。

刑事事件になった粉飾決算

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刑事事件になったら、確かによくわからない論理が展開されますね。粉飾決算をした人(代表取締役等)の刑罰があいまいですので(詐欺罪?違法配当?特別背任?)、粉飾決算を見逃した人の刑罰は、さらによくわかりませんね。粉飾決算が多発しているので、粉飾をやった罪、粉飾を見逃した罪を刑法で明確にしてもらったほうがやりやすいのではと思います。罪刑法定主義といいますしね。

農地の下限面積撤廃

2023年4月1日以降の農地法は、いわゆる下限面積の規制(農地法3条2項5号)がなくなります。当該条文上は50a(アール)が下限、さらに行政上の裁量で実質10aが下限でしたが、農業委員会の裁量で決められるようになります。したがって、行政上の裁量で10aの下限すらなくすことも可能となります。

aというと、小学校以来なじみがない面積の単位ですが、1a=100㎡ですので、10aは、1,000㎡となります。1,000㎡を坪に換算すると、約302.5坪になります。