経営事項審査における会計監査人設置会社の意味

経営事項審査とは、建設業に携わる方はおなじみの指標ですね。今回は、このうち、「監査の受審状況」について取り上げます。

https://www.ciac.jp/keisin/hyotenw/keiri

リンク先にあるように、「会計監査人設置会社」の場合は、最高の20点が加点されます。会計監査人とは、株式会社で、資本金が5億円以上又は負債が200億円以上の場合は、強制設置ですが(会社法2条6号、328条)、実は、強制設置の要件をみたさなくても、会計監査人を設置することは可能です(会社法326条2項)。そのため、強制設置であろうと任意設置であろうと、会計監査人設置会社になることは可能で、会計監査人設置会社になれば、会計監査人の情報が登記事項になり対外的に公表されます。

では、任意監査の場合は、どうなるでしょうか?任意監査の場合は、会計監査人設置会社に該当しないため、登記事項にならないことから、対外的には公認会計士監査を受けているかどうかが不明確になります。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001396970.pdf

リンク先が国土交通省が公表する審査基準なのですが、会計監査人設置会社の件については、「会計監査人設置会社において、会計監査人が当該会社の財務諸表に対して、無限定適正意見又は限定付適正意見を表明している場合」と書いてあり、任意監査の場合を想定していないように見えます。(14/44辺り)

というわけで、会計監査人を任意に設置し、会社法所定の手続を踏んでいるなら、文句なしなのですが、任意監査の場合は審査基準と異なるようにも思えるため、建設業の場合は、任意監査よりも会計監査人を任意に設置するほうが適切なのではと思います。

株券発行会社の株式譲渡

1株券が発行されている場合

株券を交付しなければ無効。ただし、株券発行会社が行う自己株式の処分は株券を交付しなくてもOK(会社法128条1項)。

2株券が発行されていない場合

株券発行会社に対し、無効(会社法128条2項)。株式譲渡の当事者間の売買の効力については有効(いわゆる相対的無効説、最高裁昭和48年6月15日第二小法廷判決など)。株券の発行を会社に請求していたのに著しく遅延するなどして、やむなく譲渡した場合等、株券発行会社に対しても有効となる場合もある(最高裁昭和47年11月8日大法廷判決)。

株券発行会社

 現行法上、株式会社は、株券を発行してもしなくてもいずれもOKです。株券を発行している会社の場合は、株券発行会社である旨が登記事項になっています(会社法918条3項10号)。なお、株券発行会社とはいっても、株式の譲渡に一定の承認が必要な株券発行会社の場合、株券の発行は株主からの請求時に発行すればいいとされています(会社法214条4項)。というわけで、株券発行会社であっても、株券が発行されていない場合もありうるということです。

電子帳簿保存法の適用対象

電子帳簿保存法は、情報化社会に対応し、国税の納税義務の適正な履行を確保しつつ納税者等の国税関係帳簿書類の保存に係る負担を軽減する等のため、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等について、所得税法、法人税法その他の国税に関する法律の特例を定めるものです。というわけで、国税を納税していれば、対応が必要になります。例えば、法人税法にいう公益法人等の場合、法人税法にいう収益事業から所得が生じていない限り、法人税の納付義務がありませんが、消費税の納付義務はあります。法人税だけでなく、消費税も国税であるため、電子帳簿保存法に対応する必要があります。

なお、国税とは、国税通則法2条1号に規定があり、「国が課する税のうち関税、とん税、特別とん税、森林環境税及び特別法人事業税以外のもの」をいいます。

役員報酬不正引き上げ

 

会社の意思としての「お手盛り」じゃなくて、個人的な意思として「お手盛り」しちゃったんですね。役員報酬は、会社法や法人税法で詳細な規制がありますが、今回は会社法違反ですね。法人税法に関しては、「不相当に高額」ということで、会社と税務当局との見解の相違がよくありますが。