退職給付会計基準注6

退職給付債務の計算基礎となる割引率の話ですね。注6では、「割引率の基礎とする安全性の高い債券の利回りとは、期末における国債、政府機関債及び優良社債の利回りをいう。」との記載があります。「安全性」というのは、債務不履行の可能性が低い、満期に償還される可能性が高いといった意味に捉えればいいかと思いますが、債券の利回りは激しく動いています。

昨今の報道でもあるように、日本企業の割引率で最も使われていると思われる日本の10年国債利回りが2007年6月以来の高水準に達してしまいました。これまで、18年間は一定の範囲内で利回りが推移していましたが、18年間の範囲内から逸脱するということになると、激しく上昇する懸念があります。

そうなると、「割引率の変更による退職給付債務の再計算」という論点が出てきてしまいます。上場企業などは、割引率の計算を複数パターンで依頼していると思いますが、複数パターンが直近の激しい動きを勘案して問題ないかどうかは今一度検討されたほうがよろしいかと存じます。