法人税法における原価と販管費等と損失

法人税法22条3項では、損金に算入すべき金額として、以下のように、原価、販管費等、損失を分けています。

一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

特に原価と販管費等ですが、販管費等の規定で、「前号に掲げるもののほか」とあるので、両者は厳格に区分する必要があります。
法人税基本通達等をよく読むと分かるのですが、両者を曖昧にしていると、事故につながるので注意です。

元税理士に有罪判決 海外法人使い法人税を脱税 大阪地裁

https://www.asahi.com/articles/ASRCJ5W6SRCJPTIL00N.html

脱税指南はいけませんね。今後再度税理士登録をしないことをもって、刑罰が執行猶予になったようです。実際に再度税理士登録しようとしても、登録申請時の審査でだめになりますかね。

役員報酬不正引き上げ

 

会社の意思としての「お手盛り」じゃなくて、個人的な意思として「お手盛り」しちゃったんですね。役員報酬は、会社法や法人税法で詳細な規制がありますが、今回は会社法違反ですね。法人税法に関しては、「不相当に高額」ということで、会社と税務当局との見解の相違がよくありますが。

法人が暗号資産を保有していたら

期末に評価替えが必要になります。取得価額と評価額との差額は、益金又は損金になります。この評価替えは、翌期首に洗い替え処理を行い、なかったことになりますが。期末の評価損益は、益金又は損金として法人税の計算に反映されます。したがって、評価益が出ていれば、法人税の納付額を増やすことになります。これは、現金の流入を伴わない益金であり、資金繰りに影響が出るため留意が必要です。

法人税法上の貸倒損失

貸倒損失というのは貸倒引当金と異なり、法人税法、施行令、施行規則に明確な規定がなく、基本通達に詳細なルールが定められています。じゃあ、基本通達の定めに忠実じゃなきゃいけないのかというと、そういうわけでもなく、最高裁で規範が示されており、最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決は、「法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の金額が回収不能であることを要すると解される。そして,その全額が回収不能であることは客観的に明らかでなければならないが,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に必要な労力,債権額と取立費用との比較衡量,債権回収を強行することによって生ずる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情,経済的環境等も踏まえ,社会通念に従って総合的に判断されるべきものである。」と判示しています。

貸倒損失というと、債務者側の状況が重視されがちですが、債権回収に労力や費用がかかりすぎる等の債権者側の状況も加味して総合的に判断することになります。