税理士試験の問題

https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikenkekka/72/touanyoushi.htm

2022年は8/2から8/4までありましたが、問題が公表されましたね。このうち、住民税、事業税、固定資産税はそれぞれ地方税法の一部なので、出題範囲が狭く、合格が狙いやすいといわれています。しかし、出題範囲が狭いからこそ、ケアレスミスが許されないという面もあり、安易に選択しないほうがいいようです。

個人的には、上記3科目を地方税法に統合するとともに、国税通則法という科目も作ってほしいです。国税通則法は、所得税、法人税、相続税、贈与税(相続税法に規定)、消費税、酒税等の国税に関する基本的、共通的な事項(納付、還付、税務調査など)を定める法律ですので、試験を通じて勉強した方が身につくと思うのですが、なぜか試験科目になっていないようです。

副業の所得区分による影響

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410040064

先日も投稿したこちらの件。仮に事業所得ではなく、雑所得にされてしまった場合の影響を考えてみました。大半が税額が増える方向への影響です。

・事業所得がマイナスになった場合、給与所得と当該損失を相殺できなくなる(いわゆる損益通算ができなくなる)

・青色申告で申告する場合、55万円又は65万円の特別控除が受けられなくなる(雑所得では青色申告できません)

・青色事業専従者給与の計上ができなくなり、必要経費が減る(ただし、これは上記の特別控除と異なり、計算上だけで税額が減るのではなく、給与の支給により現金が出ていく話です。というわけで、税額が増える方向への影響はありますが、資金繰りへの影響はないといえます。)

・貸倒引当金の計上ができなくなり、必要経費が減る(いわゆる掛け商売、信用商売のような事業でない場合は、元から計上していないので影響ありません)

・純損失の繰越し又は繰り戻し(事業所得で損失が出た場合、翌年度以降得られるであろう所得と相殺し、翌年度以降所得があった場合の税額が減ることになります。また、前年から青色申告しており、前年所得計上、当年損失(所得がマイナス)の場合、前年に支払った所得税額の還付が受けられます。)

・銀行等から融資を受ける場合の年収額に含めてもらえなくなる可能性あり(雑所得だと年収に含めてもらえず、事業所得扱いされる場合に比べ、年収額が減ってしまうことから希望額の融資が受けにくく懸念あり)

色々と挙げてみましたが、最後の融資の受ける場合の年収額に含めてもらえなくなる可能性があるというのは切実かと思います。前回の投稿と繰り返しになりますが、300万円を超えなかったら一律に雑所得とされてしまうような実務にはならないと考えられるため、「事業」だという反証ができるよう準備しておく必要があります。

地方法人課税に関する検討会

総務省で地方法人課税に関する検討会が令和4年8月から始まったようですね。資料はリンク先です。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chihou_hojinzei_r04/index.html

こちらの全体版配布資料の12/35に、地方税の一つである事業税について、外形標準課税の対象となる法人を再検討するような旨の記述があります。現状、外形標準課税は、資本金等の額が1億円を超える法人に課税されます(地方税法72条の2参照。ただし、公益法人法人等の特殊法人を除く。計算方法は違うが、ガス供給業や電気供給業を行う法人も含む。)

外形標準課税とは、簡単にいうと、「所得」がなくても、資本金等の額、人件費、支払利息、不動産の支払賃料を基礎に、事業税が課税される仕組みです(ガス供給業や電気供給業の場合は収入割といって、収入(会計上の収益)ベース)。

全国的に著名な企業が減資を行い、資本金等の額を1億円以下にして、外形標準課税による課税を避ける事例が多発したから、見直しをかけるという意図なのでしょうか?

民泊から得られた収入の所得区分

不動産オーナーの中には、いわゆる民泊で収入を得ている人もいます。民泊は、業種でいえば簡易宿泊業に分類されますが、不動産を貸し付けているという側面も否定できません。

それでは、副業として民泊により収入を得た場合の所得区分は、どう考えればいいでしょうか。日本の所得税法では、不動産を貸し付けたことにより得た収入は、不動産所得とされます。しかし、不動産を貸し付けるというと、借りる側からすると、住所を得たい、生活の拠点を得たいといった意思があると考えられます。

この点、民泊は、不動産の利用者側からすると、旅行中の拠点を確保しておくという側面があり、不動産を借りて生活の拠点を得るという側面はないものと思います。

ということは、民泊から得られた収入は、不動産所得ではなく、また、副業にすぎないということであれば、現行法上は、雑所得と区分するのが適切ではないかと考えられます。

著書在庫切れ続出?

私の著書である「税理士が知っておきたい! 土地評価に関する建築基準法・都市計画法コンパクトブック」が、あちこちの通販サイトで在庫切れになっているようです。

Amazonは中古本かプレミア価格での販売のみ
楽天ブックスはメーカー取り寄せ
紀伊國屋書店も出版社からの取り寄せ
ヨドバシ・ドット・コムは在庫切れで販売休止中
出版元の通販サイトである第一法規ストアでは「在庫あり」の表示なし

というわけで、紙の書籍での入手が困難な状況です。現時点では専門書が数多く店頭に並ぶ店舗でご購入いただくか、あるいは、「在庫あり」との表示があるhontoでご購入いただくかということになります。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

https://honto.jp/netstore/pd-book_30093978.html

KDDI通信障害の件に関する開示

この件、KDDIの四半期報告書(上場会社が作成する四半期ごとの決算書)を見たところ、「後発事象」の項に開示がありますね。

https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/E01EW/download?uji.verb=W0EZA104CXP001003Action&uji.bean=ee.bean.parent.EECommonSearchBean&PID=W1E63011&SESSIONKEY=1660099016811&lgKbn=2&pkbn=0&skbn=1&dskb=&askb=&dflg=0&iflg=0&preId=1&mul=kddi&fls=on&cal=1&era=R&yer=&mon=&pfs=4&row=100&idx=0&str=&kbn=1&flg=&syoruiKanriNo=&s=S100OU1D

こちらが四半期報告書のリンクですが、39/43ページに後発事象の記載があります。

個人事業主が支払った借入金利息の必要経費性

借入金の利息を支払ったら機械的に必要経費になると思うのは危険です。

https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0403070000.html

こちらは国税不服審判所という、税務調査等で不満があった場合に解決を図るところです。裁判にする前にこちらで解決を図ることがあります。

リンク先を見ると、案外必要経費として認めてもらえないパターンが多いのが分かるかと思います。なお、必要経費と認めてもらえない利息の元本である借入金は、事業所得の計算の基になる決算を組むに当たり、個人事業における借入金に該当しないことから、負債の借入金にするのもバランスを欠くので、負債ではなく、店主勘定の「事業主借」に含めて処理するのが適切と考えます。