一時所得


※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・前回、一時所得にするのはハードルが高いと書きましたが、そもそも一時所得の定義は?

・一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます(所得税法34条1項)。

・この「利子所得…以外の所得のうち」というのが曲者で、一時所得に該当する所得というのは、これら所得区分に該当しないことを確認したうえでないと、一時所得として申告するのはやめたほうがいいです。

・単純に〇〇所得とは、××であるという規定ではなくて、▲▲所得以外の所得…となっていることから、厳密には条文で挙げられている所得のどれにも該当しないことを確かめる→そのうえで、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない」という点に該当することを確かめなきゃいけません。そのため、ハードルが高いといいました。

・所得税法基本通達34-1では、一時所得の例示がありますが、通達は法律ではないので、ここで挙がっている例示に近いからといって、安易に一時所得として申告するのはおすすめできません。

・一応34-1は以下のように書いてあります。

(1) 懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)

(2) 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)(注)1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。3 競輪の車券の払戻金等に係る所得についても、競馬の馬券の払戻金に準じて取り扱うことに留意する。

(3) 労働基準法第114条《付加金の支払》の規定により支払を受ける付加金

(4) 令第183条第2項《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金(業務に関して受けるものを除く。)及び令第184条第4項《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等

(5) 法人からの贈与により取得する金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)

(6) 人格のない社団等の解散により受けるいわゆる清算分配金又は脱退により受ける持分の払戻金

(7) 借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料(その立退きに伴う業務の休止等により減少することとなる借家人の収入金額又は業務の休止期間中に使用人に支払う給与等借家人の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補填するための金額及び令第95条《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する部分の金額を除く。)(注)1 収入金額又は必要経費に算入される金額を補填するための金額は、その業務に係る各種所得の金額の計算上総収入金額に算入される。2 令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する立退料については、33-6参照

(8) 民法第557条《手付》の規定により売買契約が解除された場合に当該契約の当事者が取得する手付金又は償還金(業務に関して受けるものを除く。)

(9) 法第42条第1項《国庫補助金等の総収入金額不算入》又は第43条第1項《条件付国庫補助金等の総収入金額不算入》に規定する国庫補助金等のうちこれらの規定の適用を受けないもの及び第44条《移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入》に規定する資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうちその交付の目的とされた支出に充てられなかったもの

(10) 遺失物拾得者又は埋蔵物発見者が受ける報労金

(11) 遺失物の拾得又は埋蔵物の発見により新たに所有権を取得する資産

(12) 地方税法第41条第1項《個人の道府県民税の賦課徴収》、同法第321条第2項《個人の市町村民税の納期前の納付》及び同法第365条第2項固定資産税に係る納期前の納付》の規定により交付を受ける報奨金(業務用固定資産に係るものを除く。)(注) 発行法人から株式等を取得する権利を与えられた場合(株主等として与えられた場合(23~35共-8参照)を除く。)の経済的利益の所得区分については、23~35共-6参照