青色申告の取消しが生じうる場合の具体的な目安

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・個人の場合は「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」が参考に。 https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/shotoku/shinkoku/000703-3/01.htm

・大別すると5パターンあるが、注目は、5の電子帳簿保存法関連。「今後の改善可能性等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしいと認められるかどうかを検討」とあるため、調査官から指摘されたことに真摯に対応する必要あり?

・法人の場合は「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」が参考に。 https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/000703-3/01.htm

・大別すると6パターンあり。「無申告又は期限後申告の場合における青色申告の承認の取消し」があるため、期限後申告のやりすぎに注意。電子帳簿保存法関連は個人と同様に真摯な対応が必要?

日本M&Aセンター、過年度決算を訂正

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・日本M&Aセンターが売上高不正をしたとのこと。原因の一つとして売上ノルマの達成が厳しかったことがあるよう

・売上ノルマの達成に厳格かどうかは不正発生の兆候を図る要因の一つであるが、ノルマ達成に基づく人事制度も重要な要因の一つ

・売上ノルマに基づき、どれくらい人件費が影響するのか把握できているか?

・役員には労基法等関係がないため、結構派手に増減することがある。この増減根拠については、詳細な計算式が分からない場合は要注意。代表取締役社長の一存で決められており、他の取締役が逆らえない可能性がある?

・従業員給与が派手に増減する場合も注意。こちらは、詳細な計算式が用意されている場合もあるが、売上が動いたらどれくらい比例して動くか把握する必要があるか?

・会計監査をやる立場としては、売上ノルマとともに人事制度も売上の増減と人件費の増減の関係が説明できるくらいまで把握しておいた方がいいかも?

財産評価基本通達の適用が不適切なパターン

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・財産評価基本通達といえば、相続税の課税標準を計算するに当たって、実務上法律と同等の扱いにされている通達である

・相続税の税務申告を代行する場合、手数料相場に比べて安い場合は、機械的に財産評価基本通達に基づき財産評価を行うパターンが多い

・しかし、東京地裁令和元年8月27日判決は、相続財産のうちの一部の土地及び建物の価額につき財産評価基本通達の定めにより評価することが著しく不適当とした当局側の主張を認めている

・財産評価は機械的に通達に準じているから機械的にOKになるのではなく、通達に準じるにせよ、その他の方法で評価するにせよ、根拠の明確化が必要な時代であると考えられる

ワークフローシステム

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・電子帳簿保存法の改正により、電子データに対しタイムスタンプ等の承認が必要

・これに伴い注目されているのがワークフローシステム

・ワークフローとは、企業等における一連の業務の流れをいい、ワークフローシステムとは、手作業による押印ではなく、システム上で検証・承認作業をしようというもの

・ワークフローシステムは、なんでもいいというものではなく、電子帳簿保存法に適合したシステムでないと導入した意味がないので注意(JIIMA認証と呼ばれる認証があるものを導入する)

・一方で、企業等の業務は、会計や税務申告に関わるものばかりではないため、電子帳簿保存法に適合するという目的においては、導入範囲を絞ることも必要

監査報告書の署名者

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・監査報告書の署名者は、ローテーションがあり、監査契約が続く限り、いつまでも署名できないようになっている

・筆頭の責任者が5年、その他の署名者が7年というのが一般的なルールと思われる

・このローテーション制度は、被監査会社とのなれ合い防止を目的とする

・しかし、会社との信頼関係構築も重要ではないか?5年で会社との信頼関係を作れるかというと難しいのではないか?

・グレイステクノロジー等の粉飾決算も、監査法人との信頼関係を構築できず、経営陣が暴走した結果ではないか?

・現状、監査法人は、経営者とのディスカッションといい、経営者と何らかのコンタクトをとっているが、儀式的なものにすぎないのではないか?

・経営者と腹を割って話し合い、信頼関係を築こうとすると、むしろ、筆頭の責任者は最長15年くらいのローテーションでもいいのではないか?

補助金の公益性

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・ 地方自治法232条の2は、公共団体は「その公益上必要がある場合」においては寄附又は補助をすることができる旨を規定している

・公益性の判断であるが、地方公共団体が関係団体の赤字を補填するための補助金でもOKとされた事例がある

・「陣屋の村」補助金住民訴訟というもので、最高裁平成17年10月28日判決(民集 59巻8号2296頁)によると、「陣屋の村は、町の豊かな自然を生かし、住民に自然に親しむ機会を与えるとともに、都市との交流を促進するという目的で設置された農林漁業体験実習施設、食堂、宿泊施設等から成る公の施設であり、振興協会は、陣屋の村の管理及び運営の事業を行うことを目的として町により設立されたものであって、町から委託を受けて専ら陣屋の村の管理及び運営に当たっているというのであるから、その運営によって生じた赤字を補てんするために補助金を交付することには公益上の必要があるとした町の判断は、一般的には不合理なものではないということができる。
 そして、本件条例が陣屋の村を設置することとした目的等に照らせば、仮に振興協会による事務処理に問題があり、そのために陣屋の村の運営収支が赤字になったとしても、直ちに、上記目的や陣屋の村の存在意義が失われ、町がその存続を前提とした施策を執ることが許されなくなるものではないというべきである。そうすると、本件雇用によって赤字が増加したという事情があったからといって、それだけで、陣屋の村を存続させるためにその赤字を補てんするのに必要な補助金を振興協会に交付することを特に不合理な措置ということはできない。
 加えて、前記事実関係等によれば、Aは、振興協会の理事長として、食堂営業の収入を増加させるため和食調理の腕の立つ調理員を採用すべきであると判断して本件雇用を決定したものであり、人件費の増加による赤字の発生の防止についても一応の見通しを持っていたものというべきであって、同人が本件雇用をしたことや、本件雇用をした平成8年9月から平成8年度の末日である平成9年3月末日までの間に他の調理員を解雇する措置に踏み切らなかったことが、経営上の裁量を逸脱した放漫な行為であったとはいえない。」として、公益性がないものとは言い切れない旨を示した

・というわけで、補助金の公益性というのはかなり幅広いような印象を受ける?

・ただ、裁判官の一人の反対意見もあり、地方公共団体の首長とこのような団体の代表者が同一の場合、議会で可決されたからといって直ちにOKとも言い切れず、実質的な審議が必要な点、補正予算で当初予算の2.5倍の金額が可決されたというのに、実質的な審議を経ないまま可決されたので、直ちにOKとは言い切れないという。

・地方公共団体の議会は会議録があるので、実質的な審議が行われたかどうかは事後的に判明する

・ただ、予算を可決する段階で実質的な審議を行えるかどうかというと実務的に無理な話であり、予算が策定される前に実質的な審議を行っておき、安易な予算措置を許さない姿勢が必要ではないか?

会計監査に強制捜査権?

※ 論点整理を目的とした投稿ですので、事案の概要と論点をひとまとめにした箇条書きのみを記載しています。結論は、どこかの媒体で発表するかもしれませんし、発表しないかもしれません。

・グレイステクノロジーのような得意先を巻き込んだ不正だと、通常の監査手続による発見は困難だから、強制捜査権が必要では?という考えがある模様

・会計監査は国から公認会計士に委託があるのではなく、公認会計士と会社との契約によるもの

・したがって、私人間の契約にすぎず、これに警察や国税査察官のように、強制捜査権をつけるのは難しいと思われる

・現実的には罰則の強化により未然に牽制するくらいしかやりようがないのでは?